戦時、疎開学校で設立 箱根・函嶺白百合小が最後の入学式 コロナで2カ月遅れ

名前を呼ばれ、元気いっぱいに手を挙げる新入生=箱根町強羅の函嶺白百合学園小学校

 今年4月の新入生を最後に募集を停止した函嶺白百合学園小学校(神奈川県箱根町強羅)で1日、最後の入学式が開かれた。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で2カ月遅れの実施となったが、元気いっぱいの新1年生を教職員や保護者らは笑顔で祝った。

 式では、新1年生10人が6年生と一緒に入場。例年は手をつないでの入場も、今年は感染防止のため、リボンを飾り付けた棒を一緒に持って歩いた。

 新1年生は一人一人名前を呼ばれると「はい」と元気に手を挙げた。藤沢市から通う新1年生(6)は「これからの学校が楽しみ」とうれしそうな様子だった。

 入学式は当初4月9日の予定だったが延期。5月にも再延期され、緊急事態宣言の解除などを受け、ようやく今回の実施となった。函嶺白百合学園は戦時中、白百合高等女学校(東京都)の疎開学校として設立され、1949年に幼小中高の一貫校として独立。約20年前には同小児童は約300人を数えたが、近年は少子化などの影響で減少傾向が続いていた。

 減少に歯止めをかけようと、放課後に英語やバイオリンを習う時間を設けたり、放課後児童クラブを実施したりするなど児童獲得取り組みを続けてきた。しかし、2015年の箱根山の噴火も響き、入学者はさらに落ち込み、20年度4月入学を最後に新規児童の募集を停止した。6月1日現在の児童数は新1年生を含めて104人となった。

 広瀬節枝校長は「入学式はこれで最後だが、学校は続いていく。少人数の良さを生かして児童一人一人の成長を見守り、きめ細やかな指導をしていきたい」と力を込めた。

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