朽ちた恒星の遺す毒

この奇妙で不規則な形をしているジェットを含むこの天体は、原始惑星状星雲「ウェストブルック星雲(Westbrook Nebula)」です。他にも「PK166-06」「CRL 618」「AFGL 618」といった名称を持っています。

原始惑星状星雲は、ほとんど可視光を放射しないため肉眼で確認することはできません。この画像は「ウェストブルック星雲」の構造を解明するために可視光・近赤外撮影により色付し、人間の目には見えない暗い部分を可視化した合成画像です。この画像からは中心星の姿は見えませんが、斜めに伸びる一酸化炭素やシアン化水素などの「有毒ガス」を含んだジェットを確認することができます。

1枚目の画像はハッブル宇宙望遠鏡の広域惑星カメラ「WFPC3」、2枚目は同「WFPC2」によって撮影されたものです。「WFPC3」では、可視光撮影の方式や波長の変更、近赤外撮影の追加により可視化された部分が異なっています。

外層を剥ぎ取られた「ウェストブルック星雲」の中心星は約1万年の時間を掛け高温な白色矮星となり、周囲のガスや塵を熱することで美しく輝く完全な惑星状星雲へと進化していくのです。

Image Credit:ESA/Hubble & NASA
■A dying star’s toxic legacy
https://www.spacetelescope.org/images/potw1110a/

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