【MLB】残留のカーショー、復活の鍵はチェンジアップも…「36歳になってから」!?

ドジャースのクレイトン・カーショー【写真:Getty Images】

敵地元紙が復権のポイントを指摘「直球の球速が落ちた時にチェンジアップに…」

 ドジャースは2日(日本時間3日)、クレイトン・カーショー投手との3年契約に合意したと発表した。年俸総額は9300万ドル(約105億3000万円)にインセンティブ(出来高)が付いており、最大で総額1億950万ドル(約124億円)に達する。

 11、13、14年とサイ・ヤング賞を獲得し、14年にはナ・リーグMVPを受賞。通算153勝を挙げるなど圧倒的な実績を誇るが、ここ数年は腰の故障などで球速の低下、故障者リスト入りするなど衰えを指摘されている。まだ30歳のエース左腕の復権の鍵を握るものは何なのか。同地区のパドレスの地元紙「サンディエゴ・トリビューン」はチェンジアップの向上をポイントに挙げている。

 年齢を重ねることで速球を武器とする多くの投手は”モデルチェンジ”を迫られる。レッドソックスなどで3度のサイヤング賞を受賞したペドロ・マルティネスも、そうだった。かつては160キロに迫る剛速球を武器としていたが、度重なる故障で球速は140キロ台に低下。それでも、カーブ、チェンジアップなどを抜群の制球力で操ることで通算219勝を挙げた。同紙は「マルティネスはキャリア終盤に直球の球速が落ちた時、チェンジアップに頼ることで打者に打たれないようにした」と指摘。さらに、カーショーは「ペドロ・マルティネスの道をたどることができるかもしれない」としている。

カーショーにとって習得が難しいチェンジアップ「僕の手はそれほど大きくない」

 ただ、カーショーにとってチェンジアップの習得は簡単なことではないようだ。毎春のスプリング・トレーニングで習得に努めているが、まだ球種のレパートリーに加わっていないと同紙は言及。ブルックス・ベースボールによると、18年にチェンジアップを投げたのは10球だったという。カーショー自身は記事の中で「チェンジアップのいくつかは誤ってスライダーに分類されている」と主張しているが、今季中に肩と腰を故障した以降は投げていないという。

 左腕にとってチェンジアップは直球、カーブ、スライダーを投げる時の投球フォームと違うために習得は難しく、さらに「僕の手はそれほど大きくない」(カーショー)ため、かつてドジャースの守護神だったエリック・ガニエが使った”スプリットグリップ”(人さし指と中指の間にボールを挟む)もできないというのだ。それでも、カーショー自身はチェンジアップの重要性を理解しており、「たぶん36歳になってからかな。来年かもしれない」と同紙の取材に対して明かしている。

 また、同紙は勝負球のカーブの比率を上げることもポイントに挙げた。10月17日のブルワーズとのリーグ優勝決定シリーズ第5戦ではカーブが面白いように決まり、7回9奪三振3安打1失点と好投。同紙は「カーブを増やしたことで、ブルワーズを惑わせた」と指摘している。

 愛着のあるドジャース残留が決まり、カーショーは「僕が衰えていて、かつてのように良い投球ができないだろうと多くの人が言っている。そうした人たちが間違っていると証明することを楽しみにしている」と話している。同紙が“助言”するようにチェンジアップの習得、カーブの比率を増やすことで来季以降の“逆襲”につなげるのか。世界最強左腕と呼ばれたエース左腕の戦いはもう始まっている。(Full-Count編集部)

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