ロアッソ、攻めの戦術 終了間際結実 望みつなぐ

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 ロアッソイレブンの闘志は消えていなかった。8月19日の岐阜戦以来、11試合ぶりに勝利した。歓喜の瞬間は諦めずにボールを追い続けた最後の最後に訪れた。

 後半ロスタイム残り1分。MF片山奨典がスライディングで相手ボールを奪いに掛かり、こぼれ球を拾ったFW皆川佑介がペナルティーエリア左側に絶妙のパス。右サイドから横切るように突進したMF田中達也が左足を振り抜くと、ボールはGKのグラブを弾き、左ゴールポストに当たってネットを揺らした。殊勲者は「直前に(水野)晃樹さんから『守備は俺に任せて前に行け』と言われたので、思いっきり突っ込めた」と値千金のゴールを振り返った。

 21位以下が確定してJ3降格が現実味を帯び、今季が残り3試合となる中、渋谷洋樹監督は戦術を大きく軌道修正した。ボールをキープして主導権を握るパスサッカーを封印。前線へのロングボールを多用し、相手にプレッシャーをかける攻撃を選択した。指揮官は「今までやってきたスタイルでは勝てなかった。最下位を脱出するために選んだ手段」と心境を明かした。

 その決断に呼応し、選手たちはボールを奪うと迷いなく気持ちを相手ゴールへ向けた。シンプルな攻勢はスピード感を生み、3ゴールにつながった。

 最下位脱出は、J2残留へ望みをつなぐためだけでなく、名誉のためにも不可欠だ。田中は「苦しい状況は何も変わらない。気持ちが入ったプレーを見せ続ける」。なりふり構わぬ姿勢で、サポーターに勝利を届ける気構えを示した。(樋口琢郎)

(2018年11月4日付 熊本日日新聞朝刊掲載)