写真で育む地元への愛着心 「八戸古今アルバム」始動/青森 世代間交流のきっかけにも

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昭和の懐かしい写真を基に、現在の様子を比較する参加者たち=3日、八戸市

 青森県八戸市の今と昔を写真で見比べ、地元の魅力を再発見しようという新たな取り組みが市内で始まった。「八戸古今アルバム」と銘打ったプロジェクトで、参加者は過去の写真を基に現在地を探し当てて写真を撮影し、スマートフォン専用のアプリに投稿することによって、時代の変化を多くの人に発信できる仕組み。幅広い年齢層の参加を呼び掛けており、年配者が昔の様子を若者に伝えることで世代間交流の拡大につなげるほか、地元への愛着心や誇りを育むきっかけになりそうだ。

 プロジェクトを仕掛けたのは、医療や教育などの分野で地域連携を呼び掛ける同市のNPO法人「リコネクト」(小倉和也理事長)。昨年5月に発足し、芸術鑑賞や交流イベントを企画。新たな活動の広がりを模索していたところ、神奈川県鎌倉市で地域活性化に取り組む団体「カマコン」が手掛ける古写真収集プロジェクト「鎌倉今昔写真」の存在を知った。

 鎌倉今昔写真は2015年にアプリとして配信されると、大きな反響を呼び、新潟市や神奈川県大磯町など全国各地で「今昔写真シリーズ」として同様の取り組みが拡大。リコネクトも「八戸版」としての制作協力を依頼し、シリーズ10カ所目として選ばれた。

 3日、八戸市中心部で初の撮影会が行われ、10~80代の男女約40人が参加。市博物館や市民から集めた写真の場所を探しに、カメラやスマートフォンを持ってグループごとに出発した。

 「もうちょっと左から撮ってみたら」「この角度だとぴったりだ」。参加者たちは、昭和の懐かしさ漂う写真の中から、建物や看板などの手掛かりにお目当ての場所を巡った。

 散策中には「昔ここに喫茶店があって、今の奥さんと初めてデートした」「そこに以前あったレストランは昔よく家族で行った」といった会話も弾んだ。

 その様子を眺めていたのは、今昔写真シリーズを企画したプロジェクトチーフの土屋敏男さん(62)。日本テレビで「進め!電波少年」をはじめ数々の人気テレビ番組を手掛けてきた名物プロデューサーだ。プロジェクトについて土屋さんは「世代間を超える話題は少ない。この企画がその一つとなり、もっと多くの人が交流をしてくれれば」と思いを語る。

 撮影後、同市の南部会館へと戻り、写真をアプリに投稿。全員で今と昔の様子を確かめながら、つかの間の"タイムトラベル"を楽しんだ。青森県立八戸商業高2年の堺田かおりさん(17)は「初めて聞く話ばかりで、八戸のことをもっと知りたいと思った」と満喫した様子。同市の会社役員松坂洋司さん(63)は「若いころを思い出せて楽しかった。次回も必ず参加したい」と話した。

 アプリは現在配信中で、今後は中心部以外の撮影会も企画するという。小倉理事長は「参加者全員が生き生きとしており、新しい交流の形ができた。多くの人に参加してもらい、八戸をもっと好きになってほしい」と力を込めた。