核軍縮「日本の影響低下」 長大レクナ中村准教授 政府対応に懸念 長崎で「反核医師のつどい」

 長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)准教授の中村桂子氏は4日、長崎市で講演し、日本政府が核軍縮へ核保有国と非保有国の「橋渡し」を掲げる一方、米国の核の傘に依存する矛盾した姿勢から「世界に影響を与えられなくなっている」と懸念を示した。
 「反核医師のつどい」(実行委主催)の一環。ノーベル平和賞を昨年受賞した非政府組織(NGO)核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)共同設立者のティルマン・ラフ氏と、日赤長崎原爆病院名誉院長の朝長万左男氏も講演した。
 中村氏は、日本政府は2016年に核兵器禁止条約交渉に反対して以降「露骨に核保有国と足並みをそろえている」と分析。一方、今月1日、政府が国連総会で提出した核兵器廃絶決議案は賛成多数で採択されたが、複数の核禁止条約推進国や米国が棄権に回る事態も招き「日本は何を目指しているのか」と批判した。
 核軍縮について議論する外務省主催「賢人会議」メンバーの朝長氏も、政府の「橋渡し」は「うまくいっていない」と指摘した。
 ラフ氏は、地雷や生物・化学兵器は条約で禁じており、核兵器も禁止条約で縛るべきと指摘。核廃絶へ「一人一人が行動できる」と述べ、海外には核兵器関連企業から資金を引き揚げる金融機関があることも紹介した。

講演した(左から)ラフ氏、朝長氏、中村氏=長崎市平野町、長崎原爆資料館

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