ホーム負けなし 29試合で64得点 最速でJ2昇格を決めたFC琉球強さの理由

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 J2昇格、J3優勝を懸けた大一番の群馬戦。4―2でリードしたまま、後半4分間のロスタイムに突入する。「FC琉球、FC琉球」。時間がたつごとに、スタンドの歓声が増す。終了のホイッスルが鳴ると選手や金鍾成監督、コーチ陣はもみくちゃになり、歓喜の輪が広がった。何度も繰り返し持ち上げられた優勝のシャーレは、光に反射してまぶしく輝いた。

 琉球は2013年にJ3に参入してから昨季まで一度もJ2昇格争いに絡めなかった。特にシーズン中盤以降に失速。昨年10月、格下のFC東京U23との対戦では、シュートを21本放つも1―1で引き分けに終わり、昇格の可能性は完全になくなった。「拙攻」がチームに重くのしかかった。

 リスクを負いながら攻め続ける「3―1で勝つサッカー」。金監督は就任以降、掲げ続けてきたが、昨季までは攻守ともちぐはぐな試合が多かった。今季は多くの主力が抜けた一方、藤枝MYFCにいた枝本雄一郎や元日本代表の播戸竜二らが加入。金監督が朝鮮大学校時代に指導した朴一圭をはじめ、富所悠、富樫佑太らチームを支えてきた選手が金監督の求める戦術を新加入選手に伝え、少しずつ形づくっていった。

 理想とするサッカーへ、特に変わったのがCBの増谷幸祐、瀧澤修平、GK朴の守備の連係だ。3年間かけて「言葉がなくても分かり合える」関係になり、局面での判断に迷いもなくなった。スペースを突かれた際の対応力が増し、チーム全体が攻撃への意識を高めていく。中盤の選手が果敢に攻め上がり、シーズン中盤から導入した「4―1―4―1システム」が一層、前への推進力を高めた。「後ろからつくる」スタイルが確立され、超攻撃型サッカーが出来上がった。

 選手たちを支える三栖英揮フィジカルコーチの存在も大きい。今シーズン、大きなけがを負った選手はいない。金監督は「試合終盤のパフォーマンスは、完全にフィジカルトレーニングの成果」と太鼓判を押す。

 ホーム戦勝率は昨シーズンは3割台だったが、今季は負けなし。29試合で64得点のリーグ屈指の攻撃力など、今季の飛躍を数字が示す。以前の勝負弱さから、勝ち切る琉球に生まれ変わった。「誰を出そうかな」と指揮官を悩ませるまでレベルアップした選手たちが、「ファンが見ていて飽きない」チームをつくり上げた。

 (喜屋武研伍)