金属行人(11月5日付)

 先日、新日鉄住金エンジニアリングの高校生向け設計コンテストを取材した。学校で学んだ知識を応用して課題の解決に挑む。今回は柱のない、巨大で丈夫な空間構造物の設計が課題で、4校が参加している▼先日は来年3月の最終コンテストに向けた「中間イベント」で、模型で作成した3連トラスの破壊試験などを行った。時代の潮流に乗り、高校生たちはインターネットを中心に手法を模索しているようだった▼イベントの中で「ワールドカフェ」が実施された。少人数のグループに分かれ、あるテーマについて自由な発想で話し合い、席替えをしながらアイデアを出し合う。ここでのテーマは「50年後の住宅」だった▼高校生たちはネットで調べたものではない、自らの想像する未来の住宅の姿を披露した。ただ、その模様を眺めていると、高校生ということもあるかもしれないが突飛な意見はほとんど出ず、無難なものが多かったように思う▼進行役に促されて飛躍した意見も出てきたが、常識の枠からはなかなか飛び出しにくいようだった。全てが0と1の羅列で表されるデジタル社会では、奇抜なアイデアは出にくいのかもしれない。機械とヒトを差別化し得る創造性を養うにはどうすればよいだろうか。

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