【北海道鋼友会「秋の例会」、各地区の景況報告】鉄骨好調も工事遅延が深刻

 北海道鋼友会(会長・今井國雄今井金商会長)はこのほど、既報の通り札幌市内で「秋の例会」を開催した。その中で報告された各地区の景況は以下の通り。

 【室蘭・苫小牧】

 苫小牧は苫小牧中央インターチェンジの整備工事が順調で、沼ノ端地区などの大型宅地開発が進む。市立病院の増築や私立高校の寮、小中学校の新設も計画。登別は温泉旅館の社員寮や耐震改修、消防署建設。室蘭は体育館や市営住宅、科学館や図書館の建替えのほか、民間の倉庫や社屋新築が数件ある。伊達はニセコエリアで仕事が出ている。

 【旭川】

 鉄筋の管内使用量は3万~4万トンと言われ、今年も前年並み。病院の移転計画が資材高騰や人手不足から入札不調に。S造は旭川空港国際線ターミナルビル増改築750トンと、その他2~300トンクラス。ファブは本州案件や札幌の下請けで、新規案件が入らない状況。機械製缶や金物関連の鉄工所は活況感がなく、値上げを遅らせる要因に。市庁舎の建て替えが来春着工予定だが、地元業者の採用は微妙。来年へ向けて鉄骨関連以外は厳しい状況が予想。

 【帯広】

 公共事業は災害復旧の減少、住宅建築も前年度を下回り盛り上がりに欠ける。農業畜産関連は確認申請のズレ込みで発注が後半に集中し、不需要期の1~3月に加工となる物件も。農機具メーカーは今年も好調で前年以上に受注しており、倉出し出荷を支えている。建築は総合体育館や学校の耐震改修が発注。認定こども園や保育所、児童館などで資材高騰による設計変更や入札不調が相次いでいる。バイオマスや道の駅、温水プール、庁舎の建設が予定。

 【釧路】

 公共投資や一般住宅投資が減少傾向。人手不足で着工時期が遅れている。牛舎案件の発注が旺盛で、12月から来年1月に資材の納入ピークとなりそう。ファブは契約残が豊富で来年夏以降の話が中心。飼料・燃料倉庫や火力発電所などの物件がある。来年度も日銀宿舎やクラスター事業の物件がある。

 【北見・網走】

 一般鉄工所に忙しさがなく、物件の草刈り場となっている感も。農業・酪農関連で案件は多いが、建設遅れが目立ち出荷に至ってない。ファブは大口案件が遅れて他の仕事が入らない状況。公共建築は大口が少なく、S造が少ない割にRC造が多い。7~9月の出庫は去年に比べ1割以上の減少。

 【札幌・小樽】

 倉出しは春先からリース、建築とも昨年並みに堅調、土木は例年より2カ月ほど前倒しで荷動きに。プロジェクトは昨年から継続で新千歳空港やニセコ、札幌市内再開発でファブは高稼働を継続中。今後も札幌の再開発やホテル建て替え、日本ハムのボールパークなど継続的に物件はある。ホテルは本州勢の初計画が多く、老朽化の建て替えも。

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