理研、住友電工など、NMR分析装置試運転に成功 超電導線材接合の新技術応用

 理化学研究所や住友電工など5者は2日、酸化物超電導線材の接合に関する新技術を盛り込んだNMR(核磁気共鳴)分析装置を試作し、試験運転に成功したと発表した。

 新技術は磁場を発生させるキー部品のコイルに使う超電導線材に関するもの。つなぎ目の電気抵抗もゼロにできる。試作機はコイル全体で電気抵抗をなくし、外部電源がなくとも磁場を発し続ける永久電流運転を実現した。

 開発には理化学研究所と住友電工のほか、神戸製鋼所子会社のジャパンスーパーコンダクタテクノロジー、JEOL・RESONANCE、科学技術振興機構が参画。住友電工はガドリニウムなどを用いたレアアース系の超電導線材の製造や接続技術の開発などを担当した。

 レアアース系の超電導線材は液体窒素温度で電気抵抗がゼロになるほか地場発生の性能が高いことが特長。コイル化には長尺線材が必要で、接合時に抵抗を発生させない技術の開発がこれまで課題となっていた。

 今回、新たな接続技術を盛り込んで試作したNMR装置の永久電流運転は9・39テスラという強磁場の中で実現。線材接続部で抵抗が発生せず、原理的には外部電源なしで10万年間磁場を発し続けられる。今回の研究成果は小型・高性能で省エネなNMR分析装置の開発に貢献する。

© 株式会社鉄鋼新聞社