広島丸が本命、鈴木が対抗 投手成績で突出の巨人菅野は…セMVPを占う

広島・丸佳浩【写真:荒川祐史】

トリプルスリー・山田に3年ぶり受賞の期待

 ソフトバンクの日本一連覇で閉じた2018年のプロ野球。これから各部門の表彰が始まるが、注目されるのがセ・リーグの最優秀選手(MVP)の行方だ。

 両リーグから各1人が選出されるMVPは投打にわたってそのリーグで最も活躍した選手に与えられる。記者投票によって選出されるが、ここでセ・リーグMVPを占っていきたい。

 過去の実績から一定の法則が見て取れる。

1、優勝チームで最も功績があった選手が選ばれることが多い。

2、球史に残るような大記録を残した選手は優勝チーム以外でも選ばれることがある。

3、ポストシーズンの活躍が評価に反映されることはない。

 この法則に照らすと、セ・リーグは広島の選手が選出される可能性が高い。

 投打の有力候補を見ていこう。

打者
※RC5傑 RC(Run Create)は打者の総合指標 安打、長打、四死球、盗塁、犠打、犠飛を加味している。

1山田哲人(ヤ)
165安34本89点33盗 率.315 RC134.21

2丸佳浩(広)
132安39本97点10盗 率.306 RC124.18

3筒香嘉智(De)
146安38本89点0盗 率.295 RC111.73

4鈴木誠也(広)
135安30本94点4盗 率.320 RC111.33

5岡本和真(巨)
167安33本100点2盗 率.309 RC110.81

 3度目のトリプルスリーを達成したヤクルト、山田が1位。1度目のトリプルスリーを達成した2015年は、チームもリーグ優勝し、山田がMVPに選ばれたが、翌年の2度目はMVPには選ばれなかった。偉大な記録ではあるが、チーム戦績から山田がMVPに選出される可能性は低いか。

 やはり丸、鈴木誠の広島勢から選ばれると考えるべきだろう。昨年MVPの丸は今年も貢献度が極めて高い。ただ鈴木とは成績は互角であり、票は割れるのではないか。首位打者、最多安打の中日ビシエドのRCは107.21で6位、打点王のヤクルト、バレンティンは98.65で7位だった。

2年連続沢村賞の沢村賞・菅野が圧巻の成績…4年ぶり受賞なるか

◯先発投手
※PR5傑 PR(Pitching run)は(リーグ防御率-その投手の防御率×投球回数)÷9で導き出す指標。リーグ防御率より優秀な投球でより多くのイニングを投げた投手のポイントが高くなる。リーグ防御率は4.10だった。

1菅野智之(巨)
28試15勝8敗202回 防2.14 PR44.02

2大瀬良大地(広)
27試15勝7敗182回 防2.62 PR29.96

3東克樹(De)
24試11勝5敗154回 防2.45 PR28.26

4メルセデス(巨)
13試5勝4敗92回 防2.05 PR20.97

5ガルシア(中)
27試13勝9敗168回2/3 防2.99 PR20.83

 1位の巨人菅野が傑出した数字。沢村賞選考では基準の7部門すべてをクリア。また1978年の近鉄、鈴木啓示以来のシーズン8完封など歴史的な快投だった。2位の広島大瀬良もエースの働きではあったが、内容的には菅野が大きく上回る。

◯救援投手
(40登板以上)

1フランスア(広)
47試3勝4敗 1S 19H 65回 防1.66 PR17.63

2石山泰稚(ヤ)
71試3勝2敗 35S 7H 73回2/3 防2.08 PR16.55

3藤川球児(神)
53試5勝3敗 2S 21H 54回1/3 防2.32 PR10.75

4中崎翔太(広)
68試4勝2敗 32S 6H 66回1/3 防2.71 PR10.26

5佐藤優(中)
42試1勝2敗 5S 10H 43回1/3 防2.08 PR9.73

 広島のフランスワが1位。5月21日に育成枠から支配下登録されたが、そこから目覚ましい活躍だった。セーブ王のDeNA山崎康晃は、防御率2.72。しかも投球回は56回2/3と少なく、PRは8.65で14位だった。
 
 MVP候補は、

1丸佳浩(広)
2鈴木誠也(広)
3菅野智之(巨)
4山田哲人(ヤ)
5大瀬良大地(広)

 と予想する。順当に行けば、広島の打者2人の争いだが、菅野の歴史的な投球をどう評価するかが焦点となりそうだ。(広尾晃 / Koh Hiroo)

© 株式会社Creative2