ホークス柳田は好成績も、リーグ王者・西武の打者が有力か…パMVPを占う

西武・山川穂高【写真:荒川祐史】

10年ぶりリーグVの西武は打者に候補者多数、日本一のホークスは…

 日本シリーズが終わって、平成最後の日本プロ野球は閉幕した。このあとは「総決算」。各種の表彰が待っている。ここでは今季のパ・リーグMVPについて占っていこう。

 MVP(最優秀選手)は両リーグから各1人が選出される。投打にわたってそのリーグで最も活躍した選手に与えられる。記者投票によって選出されるが、過去の実績から一定の法則が見て取れる。

1 優勝チームで最も功績があった選手が選ばれることが多い。

2 球史に残るような大記録を残した選手は優勝チーム以外でも選ばれることがある。

3 ポストシーズンの活躍が評価に反映されることはない。

 今季はレギュラーシーズン2位のソフトバンクが、下剋上で日本一になったが、この原則に照らすと、レギュラーシーズン優勝の西武の選手が選ばれる可能性が高い。

 投打の有力候補を見ていこう。

◯打者
※RC5傑 RC(Run Create)は打者の総合指標 安打、長打、四死球、盗塁、犠打、犠飛を加味している。

1秋山翔吾(西)
195安24本82点15盗 率.323 RC127.53
 
2柳田悠岐(ソ)
167安36本102点21盗 率.352 RC126.52
 
3山川穂高(西)
152安47本124点0盗 率.281 RC125.21
 
4吉田正尚(オ)
165安26本86点3盗 率.321 RC112.46
 
5浅村栄斗(西)
175安32本127点4盗 率.310 RC108.30
 
 RCでは西武・秋山が1位だが、3位の西武・山川までは大差ない。日本一になったソフトバンクだが、ペナントレースは2位だったので首位打者の柳田は分が悪い。最多安打の秋山と本塁打王の山川の争いだが、山川は打点でも同僚の浅村に3点差の2位。インパクトでは山川が有利か。

投手では楽天・岸が好成績…最高勝率・菊池&最多勝の多和田の西武勢は?

◯先発投手
※PR5傑 PR(Pitching run)は(リーグ防御率-その投手の防御率×投球回数)÷9で導き出す指標。リーグ防御率より優秀な投球でより多くのイニングを投げた投手のポイントが高くなる。リーグ防御率は3.90だった。

1岸孝之(楽)
23試11勝4敗159回 防2.72 PR20.89
 
2菊池雄星(西)
23試14勝4敗163回2/3 防3.08 PR14.95
 
3上沢直之(日)
25試11勝6敗165回1/3 防3.16 PR13.63
 
4ボルシンガー(ロ)
20試13勝2敗117回2/3 防3.06 PR11.01
 
5ミランダ(ソ)
8試6勝1敗47回2/3 防1.89 PR10.66

 先発投手では楽天・岸が1位。西武・菊池は昨年は最多勝、防御率1位などのタイトルを取ったが、今季は無冠。強力打線の援護を考えればやや見劣りする。菊池の同僚で16勝を挙げて最多勝に輝いた多和田は防御率3.81でPRは1.77。勝ち星こそ最多だが投球内容は傑出していたとはいいがたい。

◯救援投手(40登板以上)

1青山浩二(楽)
52試4勝1敗0S 26H 48回2/3 防1.85 PR11.10
 
2宮西尚生(日)
55試4勝3敗0S 37H 45回 防1.80 PR10.51
 
3公文克彦(日)
57試2勝0敗0S 11H 54回 防2.17 PR10.39
 
4増井浩俊(オ)
63試2勝5敗35S 9H 65回 防2.49 PR10.20
 
5宋家豪(楽)
40試5勝3敗0S 6H 41回2/3 防1.73 PR10.06

 救援では楽天のセットアッパー青山が先発投手を含めてもリーグ4位に相当する優秀な成績だった。優勝した西武ではヒースがPR6.18。西武は圧倒的な打線の力で勝っただけに、目立ったリリーフ投手は少なかった。

 ソフトバンクの森唯斗はシーズン終盤7連続セーブを記録して37セーブでセーブ王に輝いたが、シーズン防御率は2.79でPRは7.58。昨年クローザーでMVPを受賞したサファテのような傑出度した存在ではなかった。

 数字から見れば、MVP候補は、

1山川穂高(西)
2秋山翔吾(西)
3柳田悠岐(ソ)
4菊池雄星(西)
5浅村栄斗(西)

 と予想する。打撃が目立った西武だけに、打者が受賞する可能性が高いのではないか。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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