創薬ベンチャー大分大発第2号 膵臓がん治療薬開発

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)「エポメッド」を広瀬勝貞知事(左)に説明する加納裕久社長(右)と小路弘行取締役=県庁
ペプチドを投与して約2週間後の画像。薄いピンクはがん細胞が崩壊(エポメッド社提供

 大分大学医学部発の創薬ベンチャー企業第2号として「エポメッド」(大分市、加納裕久社長)が発足し、膵臓(すいぞう)がんの治療薬開発に取り組んでいる。がん増殖のメカニズムを解析する研究の中で、がん細胞を崩壊させるペプチド(タンパク質)の働きを動物実験で確認。2019年春ごろから臨床試験の準備を始める。効果を確認できれば、大手製薬会社にライセンスを提供し、その後の開発が進む。

 創薬ベンチャー第1号の大分大学先端医学研究所(同市、同社長)や個人投資家などが出資し、今年2月にエポメッド社を設立した。創業間もない企業に投資した個人投資家を優遇するエンゼル税制の要件を満たす確認書を、県が県内で初めて同社に交付した。

 エポメッドの小路弘行取締役によると、今回の技術は同社研究員で、元近畿大医学部教授の安田佳子氏の約20年間にわたる研究がベースになっている。

 研究によると、赤血球づくりを促す因子「エリスロポイエチン」の受容体は、がん細胞の表面には通常細胞に比べ最大500倍存在する。安田氏は、がん細胞が因子を利用して酸素を効率的に使い増殖するメカニズムを解明した。人の子宮頸(けい)がん細胞を移植したマウスに、因子の受容を阻害するペプチドを投与するとがん細胞が崩壊することを確認し、15年に発表した。

 大分大学先端医学研究所の役員を務める小路氏と安田氏が知り合ったことがきっかけで、がん治療薬開発に特化したエポメッド社の設立につながった。臨床試験や薬として使うにはペプチドを低分子化するなどの改良が必要で、同研究所の独自技術も活用して研究を進めている。治療の難しい膵臓がんをはじめ、将来はさまざまながん治療への活用を目指す。

 同社は「がんの根治治療を目指せる可能性を追求したい」としている。

 県庁で会社設立の報告を受けた広瀬勝貞知事は「本当に楽しみな夢のある話。応援したい」と激励した。

<メモ>

 エポメッド社によると、膵臓がん治療薬の世界の市場規模は2025年までに約5千億円に達するとみられている。