潜伏キリシタン関連 構成資産 障害者対応 未整備多く 主な10施設、外国人も

 長崎県は5日、世界文化遺産に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産のうち主な10施設について、障害のある人や外国人への対応状況を明らかにした。元々観光施設ではなかったために未整備な部分も多く、施設周辺の手すりは5施設、車椅子用のスロープは9施設で設置されていなかった。
 県議会観光振興等対策特別委員会で佐古竜二観光振興課長が説明した。
 同課によると、調査したのは県内の大浦天主堂(長崎市)や原城跡(南島原市)、旧野首教会(北松小値賀町)など10カ所。うち障害者用の公共駐車場があるのは3カ所だけ。近くで車椅子などを借りられるサービスがあるのは大浦天主堂しかなかった。バリアフリー情報をインターネットで発信しているのは長崎市内の3カ所だけだった。
 春日集落ガイダンス施設(平戸市)や原城跡、旧五輪教会堂(五島市)、頭ケ島天主堂(新上五島町)の4施設は周辺に手すりやスロープ、障害者用の公共駐車場のいずれもなかった。
 外国人対応は、8カ所で英語や韓国語表記の案内板などを設置。英語や中国語などを話せるガイドがいるのは5施設にとどまった。
 各市町はこれまで、調査対象の施設近くに車椅子でも入れるバリアフリー対応のトイレを整備。県と共に多言語対応の解説板も年度末までに設置する。同課は、各施設に所有者がおり、文化財の価値や景観を損ねない配慮が必要としながら「世界遺産の価値を多くの方に理解してもらうため、今後も関係者と話し合いたい」としている。

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