救急出動3万件予測 長崎市の高齢者数がピークの2025年 2017年から4000件増加 ビッグデータ分析

 長崎市の高齢者数がピークを迎える2025年、長崎市消防局管内の救急出動件数は約3万件となり、17年よりも約4千件増加する-。長崎市中央消防署警防1課の有志が、ビッグデータを使った分析に基づき、こうした予測を導き出した。日常生活の中で市民自ら注意して事故を防ぎ、救急車を本当に必要な人へ向かわせる「予防救急」の必要性が認識された。同局は高齢者向けの「啓発かるた」を配るなどして、PRに力を入れる。

 長崎市消防局は、長崎市と西彼長与、時津両町を管轄している。同課によると、救急出動件数は10年連続で増加し、17年は過去最多の2万5741件。1日平均70回、20分に1回出動している計算になる。

 分析を始めたのは、昨年9月の「第25回長崎救急医学会」でメンバーが発表することが決まったことがきっかけ。出動ごとに入力している通報時間や患者の疾患名などのデータを活用。長崎大医学部の近藤久義准教授の協力を得て、統計学の手法で分析した。

 分析の結果、高齢者数と救急件数には強い相関関係があると判明。2025年には、管内の救急出動件数が今より約4千件増加し、それ以降は徐々に減少する見込みと明らかにした。活用したデータを見ると、高齢者の通報の原因は、転倒や窒息などで、本人や家族などの注意で防ぐことができるものが多いことも明らかになった。

 長崎市が10月、長崎市内で開いた「市職員業務改善事例発表会 はってん改善KIKOU会」でも同課の前川賢一郎さん(35)が発表。分析結果について「未然に防ぐことができた事故を減らすための予防救急の取り組みの重要性を裏付け、確信と信念を与えてくれた」と話した。

業務改善事例を発表する前川さん=長崎市築町、メルカつきまち

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