ビルの省エネなど投資が世界で加速、日本6位で後塵

今後1年間で、エネルギー効率化、自然エネルギー、スマートビル技術への投資拡大を予定している組織の割合

米国発のビル管理システム大手ジョンソンコントロールズ(東京・渋谷)は11月1日、20カ国を対象としたビルのエネルギー効率に関する国際調査の結果を発表した。今後1年間でビルのエネルギー効率化や自然エネルギー、スマートビル技術への投資拡大を予定している組織の割合は、ドイツの83%を筆頭に、オランダ(71%)、中国(70%)と続き、日本は6位で60%だった。ビルのエネルギー効率に対する関心は増加傾向にあることが伺える。(オルタナ編集部=堀理雄)

パリ協定に基づく温室効果ガスの削減目標などを踏まえ、ビルのエネルギー効率を高め省エネや自然エネルギー生産を進める技術への注目が高まっている。またIoTやAIを活用した自動制御システムなどスマートビルに向けた技術開発も進んでいる。

調査結果によると、日本国内でビルのエネルギー効率化への投資を行う原動力を問う設問では(複数回答)、「エネルギーコストの削減」が86%でトップ。次いで「温室効果ガスの排出削減」(70%)、「従業員の確保・維持」(68%)、「テナント/家賃の確保」(67%)と続いた。コストとしてだけでなく、資産価値や企業の魅力を高める狙いが伺える。

また、環境や社会に配慮した「グリーンビルディング認証」を取得した割合は、日本は22%で20カ国平均は14%だった。さらに自然エネルギーを生産し、建物のエネルギー消費量の収支をゼロに近づける「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)」などの施設を10年以内に持つ可能性が高いと答えた割合は、日本で56%、20カ国平均で50%だった。

一方、送電系統から独立し、電力を自給する「オフグリッド」で操業できる施設を10年以内に持つ可能性が高いと答えた割合は、日本で45%、20カ国平均で50%だった。

同社 グローバルサステナビリティ担当のクレイ・ネスラー バイスプレジデントは、「今後日本において、発電された自然エネルギーなどをどのように共有、シェアしていくのかが課題の一つだ。個々のビルだけでなくコミュニティで供給していくような仕組みが求められるのではないか」と話した。

調査は今年で12回目。世界20カ国の経営層などビル管理責任者1901人に聞いた。

「発電された自然エネルギーなどをどのように共有、シェアしていくのかが課題の一つ」と話すジョンソンコントロールズのクレイ・ネスラー氏(11月1日、都内で)

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