ベストナインを予想する 巨人の若き主砲・岡本の初受賞なるか【セ編】

巨人・岡本和真【画像:(C)PLM】

打撃成績の良い選手に贈られる傾向が強いベストナイン

 セ・リーグの2018年ベストナインについて、今シーズンの成績と照らし合わせながら見ていこう。

 ベストナインは、MLBでいう「シルバースラッガー賞」に相当する。MVP同様、記者投票で決まるが、一定の法則性がある。

1.投手を除いて、そのポジションで最も打撃成績が良い選手が選出されることが多い。
2.成績が同程度なら、出場試合数、打席数が多い選手が選出されることが多い。
3.投手は最も成績が良い先発投手が選出される。

 守備成績が良い選手は、ゴールデングラブ賞が贈られるため、野手のベストナインは主として打撃成績で評価される傾向が強い。

 各ポジションのRC上位3人を列挙してみた。RC(Run Create)は打者の総合指標で、安打、長打、四死球、盗塁、犠打、犠飛を加味している。

 試合数は、トータルの試合数/そのポジションでの出場試合数。

一塁は岡本VSビシエド、遊撃は坂本VS田中の一騎打ち

【一塁手】
岡本和真(巨)率.309 RC110.81
143/126試 540打167安33本100点2盗

ビシエド(中)率.348 RC107.21
135/132試 512打178安26本99点3盗

坂口智隆(ヤ)率.317 RC83.18
139/98試 508打161安3本37点9盗

 今年、89代目の巨人軍4番に座って大活躍した岡本和真と、首位打者、最多安打を取った中日のビシエドの争いはほぼ互角。記者の判断も分かれるだろう。今年、プロ入りして初めてファーストミットを持ったヤクルト坂口智隆も素晴らしい働きだったが、上記の2人が断然他を引き離している。

【二塁手】
山田哲人(ヤ)率.315 RC134.21
140/138試 524打165安34本89点33盗

糸原健斗(神)率.286 RC84.14
143/121試 531打152安1本35点6盗

菊池涼介(広)率.233 RC63.64
139/139試 557打130安13本60点10盗

 ここは3回目のトリプルスリーを達成したヤクルト山田哲人で間違いないだろう。

【三塁手】
宮崎敏郎(De)率.318 RC98.73
142/140試 551打175安28本71点0盗

マギー(巨)率.285 RC76.71
132/128試 499打142安21本84点2盗

福田永将(中)率.261 RC55.61
133/120試 440打115安13本63点0盗

 昨年の首位打者、DeNA宮崎敏郎が今年も3割超えの高打率。巨人マギーとの打撃成績の差は歴然としており、当確ではないか。

【遊撃手】
坂本勇人(巨)率.345 RC97.67
109/107試 441打152安18本67点9盗

田中広輔(広)率.262 RC87.44
143/143試 572打150安10本60点32盗

西浦直亨(ヤ)率.242 RC54.15
138/127試 479打116安10本55点1盗

 巨人・坂本勇人が今年も高打率をマークしたが、34試合を欠場した。フル出場した広島・田中広輔と、票が割れるのではないか。ただ田中も32盗塁はしたものの、打率では坂本と差があり、文句なしの好成績とは言い難い。

【外野手】
丸佳浩(広)率.306 RC124.18
125/122試 432打132安39本97点10盗

筒香嘉智(De)率.295 RC111.73
139/132試 495打146安38本89点0盗

鈴木誠也(広)率.320 RC111.33
124/116試 422打135安30本94点4盗

バレンティン(ヤ)率.268 RC98.65
142/131試 514打138安38本131点1盗

青木宣親(ヤ)率.327 RC93.63
127/127試 495打162安10本67点3盗

平田良介(中)率.329 RC92.85
138/134試 493打162安9本55点8盗

 MVPの有力候補である広島丸佳浩、鈴木誠也とDeNAの筒香嘉智の3人が傑出している。打点王のバレンティンは届かないと見た。

実績ある選手が順当に成績を残した今年のセ

【捕手】
會澤翼(広)率.305 RC63.04
106/103試 315打96安13本42点0盗

梅野隆太郎(神)率.259 RC52.67
132/132試 386打100安8本47点5盗

中村悠平(ヤ)率.211 RC28.98
123/123試 341打72安5本26点2盗

 規定打席には届かなかったが、13本塁打、打率.305の広島・曾澤翼で決まりだろう。

【投手】勝利数上位5人
菅野智之(巨)
28試15勝8敗 202回 率2.14

大瀬良大地(広)
27試15勝7敗 182回 率2.62

ガルシア(中)
27試13勝9敗 168回2/3 率2.99

東克樹(De)
24試11勝5敗 154回 率2.45

ジョンソン(広)
24試11勝5敗 144回2/3 率3.11

メッセンジャー(神)
24試11勝7敗 173回2/3 率3.63

 沢村賞の巨人菅野智之が文句なしに選出されるだろう。

◯2018年ベストナイン予想 数字は選出された場合の通算選出回数

一塁手 岡本和真(巨人)初
二塁手 山田哲人(ヤクルト)4度目
三塁手 宮崎敏郎(DeNA)2度目
遊撃手 坂本勇人(巨人)4度目
外野手 丸佳浩(広島)4度目
外野手 筒香嘉智(DeNA)4度目
外野手 鈴木誠也(広島)3度目
捕手 曾澤翼(広島)2度目
投手 菅野智之(巨人)3度目

こうしてみると、初選出は巨人・岡本和真だけということになる。今季のセは、実績ある選手が順当に実力を発揮したといえるだろう。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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