小田原競輪、廃止の方向 赤字で存廃再検討、来年2月結論

 小田原競輪が廃止の方向にあることが6日までに分かった。公営ギャンブルを取り巻く環境が厳しさを増す中、2017年度の実質的な単年度収支が赤字に転落し、今後好転する見込みも立たないことが要因。神奈川県小田原市は庁内組織を立ち上げて存続の可能性も模索するとしているが、19年に開設70年を迎える競輪場の先行きは明るくない。

 5日に開かれた市議会総務常任委員会で、市側が存廃を再検討する方針を示した。

 同競輪場は1949年、戦後の復興事業として開設。事業の収益は道路や学校施設の整備などに活用されてきた。市によると、17年度までの一般会計への繰り出し額は累計で約881億6780万円に上る。売り上げ(約551億円)のピークだった91年度には約48億円を繰り出した。

 だがファンの高齢化や娯楽の多様化に伴い、近年は売り上げが低迷していた。苦境が続く中、07年8月には競輪の将来のあり方を考える検討委員会が発足。翌08年2月に、「赤字、もしくは赤字が予測される状況となった場合には廃止を検討する」と条件付きに存続を認める結論を出し、市長に報告書を提出した。

 市は今回、この報告書の結論を踏まえ、「小田原競輪の今後に向けた検討を開始する」と説明。今月に関係課で検討会議を設けて、今後の経営状況などを分析。来年2月には方向性を政策決定し、市議会に報告するとしている。

廃止の方向にあることが分かった小田原競輪場=6日、小田原市城山4丁目

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