新幹線工事影響の水枯れ問題 代替水源の確保難航

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 九州新幹線長崎ルートのトンネル工事の影響のため、長崎県諫早市多良見町井樋ノ尾地区の河川の水が“枯渇”した問題で、代替水源の確保が難航している。工事発注元の鉄道・運輸機構が4月以降、同地区内の2カ所で井戸を掘削したが、いずれも安定した水量を確保できなかった。11月から3カ所目での掘削を始める予定だが、今季、稲作を見送った農業者は「3カ所目でも出なかったら、もうこの地域で水は無理かもしれない」「仮に出たとしても、水田に水を引ける十分な水量があるのか」と掘削の行方を不安視する。

 旧長崎街道の風情が残る同地区は、近くの地下水源から井樋ノ尾川を流れる水で暮らしてきた。同地区から約1・4キロ離れたトンネル掘削工事が始まった後の今年初めから流量が減少。水田に引く農業用水と、水源からくみ上げていた飲料用水が“枯渇”した。

 同機構は4月、トンネル工事との因果関係を認め、代替水源対策に着手。しかし、5月末から田植えを予定していた5世帯(面積1・3ヘクタール)のうち、2世帯(同0・95ヘクタール)は断念、残る3世帯(同0・35ヘクタール)は作付けした。

 同機構が4、6月の2回、井戸を掘削したが十分な水量が確保されなかったため、同地区自治会と地権者らは8月27日、早急な対策を求める要望書を同機構に提出。同機構は10月22日、3カ所目の井戸掘削などの対策を文書で回答した。

 関係者によると、11月中旬から掘削に入り、来年4月ごろまでに配水工事などを完了する方針。飲料用水も同地区内での確保を検討するという。12月に住民説明会を開き、状況を報告する予定。

 地権者代表の草野敏さん(65)は「水がきれいだからという理由で、江戸時代から代々、米作りをしてきた。昔のように水が流れる川になり、来季こそは田植えをしたい」と話す。既に来季用の種を注文し、苗床を育てるつもりだ。

新幹線トンネル工事の影響で川の水量が減り、代替水源の確保も難航している井樋ノ尾地区=諫早市