ソウルフードへの愛アツアツ 神戸・長田の“こなもんシンガー” イベント東奔西走

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赤いスーツにコテが付いた帽子をかぶり、ポーズをとる「鉄板コテ之介」こと上野栄一さん=神戸市長田区水笠通4

■持ち歌はほぼ全て「長田」か「こなもん」 鉄板コテ之介さん

 真っ赤なスーツに、コテを取り付けた赤い帽子。持ち歌はほぼ全て「長田」か「こなもん」がテーマだ。“こなもんシンガー”鉄板コテ之介として神戸市長田区のイベントに引っ張りだこで、「長田のためなら、お客さん1人でもステージに立つ」と力を込める。

 赤のスーツを脱いだその素顔は、同区で刺しゅう工場を経営する上野栄一さん(60)。生まれも育ちも長田区一筋。40年近く音楽を続け、今もアマチュアバンドを組む現役シンガーだ。

 ご当地キャラとして活動を始めたのは約10年前。イベント企画を行う地元の同級生に「長田のキャラとして活動してほしい」と背中を押された。三国志をテーマにしたイベントではオリジナルキャラの「諸葛屋小梅」を演じ、その後、コテ之介が生まれた。

 二つ返事で快諾したのには理由がある。阪神・淡路大震災で工場が被災、立て直しに奔走し「復興に必死のパッチだったまちのために、できることは何でもしたい」との思いがあった。

 困難もあった。2011年3月の「三国志ガーデン」の開業イベント出演を控えた同年冬、脳内出血を発症。出演は見送られたが、復帰を目指してリハビリに励んだ。

 ♪鉄板の上は戦場 握りしめ戦うコテ 俺達の合言葉 ジュージューコテイン♪

 神戸マラソンでは、コテを打ち鳴らしながら「鉄板チャチャチャ♪」と歌う沿道の応援を第1回から続ける。今もまひが残るが「日本一滑舌の悪い歌手って自分で言うてます」と笑い飛ばす。

 「昔の長田は、ちょっと歩けば近所のおいちゃんが声を掛けてくれた。人とのつながりを大切にする長田に元気を与え続けたい」。「命」と刻まれた頭上のコテが、キラッと光った。(久保田麻依子)