安全への配慮訴え 長崎原爆遺跡の有識者委

 長崎県長崎市の国指定史跡「長崎原爆遺跡」の保存活用計画を策定する有識者の委員会(会長・下川達彌活水女子大学術研究所特別教授)の第6回会合が6日、長崎市平野町の長崎原爆資料館会議室であった。8月と9月に外壁が剥げ落ちた「旧城山国民学校校舎」(城山町)の応急対策について、関係人として出席した地域団体の役員は「子どもたちが安心して施設を守り、安全に見学できるよう配慮を」と訴えた。

 旧城山国民学校校舎は爆心地から約500メートルに位置。1、2階の平和祈念館には年間約3万5千人が入場している。外壁の応急対策について市は「校舎全体をネットで覆えば低コストで目的を達成できる」と報告した。

 また、市は同遺跡の概要や今後の保存や活用、整備についてまとめた計画素案を提示。委員からは「破壊のみを明示するのでなく、核兵器廃絶を伝えるものだと明記していいのでは」などの意見が出された。

 2016年10月に国指定となった同遺跡は「爆心地」「旧城山国民学校校舎」「浦上天主堂旧鐘楼」「旧長崎医科大学門柱」「山王神社二の鳥居」で構成。委員は考古学や史跡整備などの専門家7人で、保存活用計画は19年3月までに策定する予定。

長崎原爆遺跡の保存や活用などについて意見を出し合う委員=長崎県長崎市平野町、長崎原爆資料館会議室

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