米国の歴史を塗り替える「中間選挙」 写真特集

オバマ前大統領(共同)とトランプ大統領(ロイター=共同)

 トランプ米大統領就任後初めての中間選挙が11月6日行われた。米主要メディアなどによると、トランプ氏と対立する野党民主党が下院で8年ぶりに多数派を奪還した。上院で与党共和党が多数派を維持した。議会の上下院でねじれが生じて党派対立が一層激化するため、「米国第一」の公約実現もむずかしくなりそうだ。再選を目指す2020年次期大統領選へ不安も残した。中間選挙は現職大統領の政策に国民が判断を示す場と位置付けられ、与党に厳しい結果が出ることが多い。一方、ブッシュ大統領時代の中間選挙(2002年)では前年の米中枢同時テロでの対応を評価され大勝したケースもある。近年の米中間選挙のシーンを写真で追った。(まとめ 共同通信=柴田友明)

 肩書はそれぞれ撮影当時。

ブッシュ大統領

 写真は、廃墟となった世界貿易センタービルの上で、消防士とともに立って人々に訴えかける2001年9月当時のブッシュ大統領。この時代を物語るワンカットだ。翌年の02年11月の中間選挙では与党共和党が歴史的勝利を収めた。同時テロ後に米国民の安全保障観が大きく変化したことが背景となっている。米国はイラク戦争へと向かう。

【写真特集】

2001年9月14日、廃虚となった世界貿易センタービルの崩壊現場で、消防士や救助隊員に話し掛けるブッシュ米大統領(ロイター=共同)

【写真特集】

2002年10月24日、サウスカロライナ州コロンビアで選挙遊説中のブッシュ米大統領(ロイター=共同)

【写真特集】

2002年10月31日、米サウスダコタ州の大学で、中間選挙での支持を訴え演説するブッシュ大統領(ロイター=共同)

【写真特集】

2002年11月7日、米中間選挙後初の記者会見で余裕の笑顔を見せるブッシュ米大統領(ロイター=共同)

オバマ大統領

【写真特集】

有権者からの初の審判となる中間選挙を3カ月後に控えたオバマ米大統領=2010年7月29日(ロイター=共同)

【写真特集】

2013年10月25日、ニューヨークで演説するオバマ米大統領(ロイター=共同)

 2014年11月、オバマ大統領時代の中間選挙では与党民主党が大敗した。停滞する政治への不満の矛先が「チェンジ」の約束を果たせなかったオバマ氏に集まったためとみられる。初当選時にオバマ氏が背負った過剰な期待の裏返しと報じられた。

【写真特集】

2014年11月4日、米中間選挙で、共和党候補の勝利を喜ぶ支持者ら=ニューヨーク(ロイター=共同)

クリントン大統領

 1994年の中間選挙は上下両院での共和党の歴史的な多数派奪還となった。クリントン大統領は再選に向け戦略の大幅修正を迫られることになった。共同通信は当時の記事で「まともな政策論争もないまま『反ワシントン政治』に燃える国民の怒りが劇的な形で表現された」と報じた。

【写真特集】

1994年10月11日、ミシガン州ディアボーンにあるフォードのマスタング工場を訪れ、労働者と談笑するクリントン米大統領(ロイター=共同)

【写真特集】

1994年11月5日、民主党州知事候補のブラウン氏(左)と聴衆の前に立つクリントン大統領(ロイター=共同)

【米中間選挙】4年に1度の米大統領選の中間年に実施される連邦議会上下両院選や州知事選などの総称。人口に関係なく各州から2人ずつ選ばれる上院(定数100、任期6年)は約3分の1が改選対象となる。任期満了前の辞任による補選も含め、今回は35議席が争われる。各州に人口比で議員数が割り当てられる下院(定数435、任期2年)は全員改選される。現在は共和党が両院で多数派。現職大統領の政策に国民が審判を下す場と位置付けられ、与党に厳しい結果が出ることが多い。

© 一般社団法人共同通信社