ゴールデングラブ大予想 広島菊池、巨人菅野にライバル出現か【セ編】

広島・菊池涼介【写真:荒川祐史】

ベストナインと同じく記者投票で選出されるゴールデングラブ賞

 守備のベストナインであるゴールデングラブ賞も記者投票で選出される。各ポジションの規定試合数以上の選手の守備成績を見ていこう。続いてセ・リーグ。

 守備成績は、もっとも数値化が遅れている部門だ。また、ポジションによって見るべき数字も変わってくる。ここでは発表されている各指標に加えて守備範囲の広さを示すRF(レンジファクター補殺+刺殺=守備機会を試合数で割った数値)も出す。

【一塁手】
ビシエド(中)
132試 5失策 守備率.996 併殺95 RF9.84

ロペス(De)
108試 0失策 守備率1.000 併殺76 RF8.76

坂口智隆(ヤ)
98試 5失策 守備率.994 併殺58 RF8.49

岡本和真(巨)
126試 6失策 守備率.994 併殺88 RF8.44

 一塁手の守備機会は他の内野手からの送球を捕球する刺殺が大部分なので、RFはあまり重要ではない。出場試合数と失策数の少なさが重要だ。DeNA・ロペスはフィールディング、捕球の確実性などが高く評価され、ここまで3回ゴールデングラブを受賞してきたが、今季は108試合しか守っていない。守備機会が1000以下というのは物足りない。最も多く一塁を守り、守備率もまずまずだった首位打者の中日・ビシエドとしたい。

【二塁手】
山田哲人(ヤ)
138試 13失策 守備率.984 併殺92 RF5.64

菊池涼介(広)
139試 3失策 守備率.996 併殺92 RF5.15

高橋周平(中)
99試 7失策 守備率.986 併殺54 RF5.06

糸原健斗(神)
121試 10失策 守備率.981 併殺53 RF4.27

 二塁手、三塁手、遊撃手は守備範囲を示すRFと併殺参加数が重要だ。広島・菊池涼介は、昨年の第4回WBCで驚異的な守備を披露し、一躍注目されたが、実はRFは昨年からヤクルト・山田哲人よりも低くなっていた。失策数は山田13に対して菊池3と少ないが、それだけ無理目の打球を追わなかったという見方もできる。守備の名手の評価が高い菊池だが、今年は山田を選びたい。

三塁手の最多出場はDeNA・宮崎の140試合

【三塁手】
福田永将(中)
120試 10失策 守備率.965 併殺16 RF2.32

宮崎敏郎(De)
140試 11失策 守備率.963 併殺23 RF2.07

大山悠輔(神)
104試 6失策 守備率.973 併殺18 RF2.06

マギー(巨)
128試 7失策 守備率.974 併殺16 RF2.02

 守備範囲では中日・福田永将だが、ほぼフル出場した宮崎も捨てがたい。併殺参加数も多いので、宮崎とする。

【遊撃手】
京田陽太(中)
142試 6失策 守備率.991 併殺85 RF4.76

坂本勇人(巨)
107試 9失策 守備率.982 併殺60 RF4.70

田中広輔(広)
143試 7失策 守備率.989 併殺87 RF4.50

西浦直亨(ヤ)
127試 11失策 守備率.981 併殺71 RF4.44

大和(De)
109試 11失策 守備率.976 併殺67 RF4.12

 遊撃は2年連続で巨人・坂本勇人が受賞してきたが、今年は107試合しか守っていない。中日・京田陽太と広島・田中広輔がほぼ互角の数字だが、RFの差で京田としたい。

【外野手】
大島洋平(中)
141試 0失策 守備率1.000 補殺7 RF2.05

丸佳浩(広)
122試 1失策 守備率.996 補殺1 RF1.89

桑原将志(De)
113試 1失策 守備率.995 補殺4 RF1.84

長野久義(巨)
113試 1失策 守備率.995 補殺1 RF1.76

亀井善行(巨)
114試 6失策 守備率.970 補殺7 RF1.69

平田良介(中)
134試 1失策 守備率.996 補殺9 RF1.69

福留孝介(神)
113試 2失策 守備率.989 補殺6 RF1.65

青木宣親(ヤ)
127試 4失策 守備率.981 補殺4 RF1.64

野間峻祥(広)
123試 1失策 守備率.995 補殺3 RF1.63

鈴木誠也(広)
116試 4失策 守備率.979 補殺8 RF1.62

アルモンテ(中)
122試 3失策 守備率.984 補殺5 RF1.5

雄平(ヤ)
120試 4失策 守備率.978 補殺4 RF1.49

筒香嘉智(De)
132試 3失策 守備率.985 補殺5 RF1.45

糸井嘉男(神)
117試 3失策 守備率.983 補殺4 RF1.44

バレンティン(ヤ)
131試 6失策 守備率.967 補殺3 RF1.36

 外野手は試合数、守備範囲の広さを示すRFに加えて、外野からの送球で走者を刺した補殺に注目したい。RFは中堅手が大きくなり、右翼、左翼の順だ。ただ多くの球団では最も守備の良い外野手を中堅に据えている。そろそろベテランの域に達した中日・大島洋平だがセ・リーグで唯一RFが2.0を超えた。補殺数も多く、文句ないところだろう。続いて広島・丸佳浩も守備範囲が広く、堅実。3人目は悩ましいところだが、リーグ最多の9補殺を記録した中日・平田良介としたい。

【捕手】
小林誠司(巨)
119試 5失策 守備率.993 捕逸4 盗阻率.341

梅野隆太郎(神)
132試 4失策 守備率.996 捕逸5 盗阻率.320

中村悠平(ヤ)
123試 7失策 守備率.992 捕逸2 盗阻率.288

會澤翼(広)
103試 4失策 守備率.994 捕逸2 盗阻率.245

嶺井博希(De)
90試 2失策 守備率.997 捕逸4 盗阻率.188

松井雅人(中)
91試 4失策 守備率.992 捕逸5 盗阻率.170

 捕手の守備機会の大部分は、打者の三振によるものなので、RFは参考にはならない。出場試合数、守備率と捕逸(パスボール数)、盗塁阻止率が重要だ。今季の阪神・梅野隆太郎は阪神の本塁をほぼ一人で守り抜いた。盗塁阻止率は2位、巨人・小林誠司と数字的には大差ないが、捕手としてリーグ最多出場を評価して梅野としたい。

【投手】
大瀬良大地(広)
27試 0失策 守備率.1000 RF1.37

メッセンジャー(神)
28試 1失策 守備率.977 RF1.50

東克樹(De)
24試 1失策 守備率.970 RF1.33

菅野智之(巨)
28試 1失策 守備率.966 RF1.00

ジョンソン(広)
24試 2失策 守備率.961 RF2.04

ガルシア(中)
27試 2失策 守備率.959 RF1.74

山口俊(巨)
30試 1失策 守備率.950 RF0.63

ブキャナン(ヤ)
28試 3失策 守備率.939 RF1.64

 投手はもともと守備機会が少ないため、失策数程度しか根拠となる指標がない。毎年の投票は、フィールディングの俊敏さなど印象で選出されている。ただ今季のジョンソンは、投手としては珍しくRFが2を超えた。1登板当り自分で2つのアウトを稼いだのは大きい。巨人・菅野智之に票が集まりそうだが、あえてジョンソンとしたい。

ゴールデングラブ賞 セ・予想 数字は、選出された場合の通算受賞回数

一塁手 ビシエド(中日)初
二塁手 山田哲人(ヤクルト)初
三塁手 宮崎敏郎(DeNA)初
遊撃手 京田陽太(中日)初
外野手 大島洋平(中日)6
外野手 丸佳浩(広島)5
外野手 平田良介(中日)初
捕手 梅野隆太郎(阪神)初
投手 ジョンソン(広島)初

 初選出が7人とフレッシュな顔ぶれになった。ポイントは二塁・山田哲人が選ばれるかどうかだろう。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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