映画「銃」フィルムノワールの映像表現で純文学的な主人公の心理を見事に映像化した本作は、まさに鉛のような重みで見る者を圧倒する

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『土の中の子供』で芥川賞を受賞し、近年はカルト教団を舞台にした『教団X』、現在の全体主義を描いた『R帝国』など次々と話題作を提示し続ける作家・中村文則。彼のデビュー作である『銃』が、奥山和由プロデュース、武正晴監督により映画化された。「俺は拳銃を拾った」──雨の夜、ひとりの男の死体と共に放置されていた拳銃を拾った大学生トオル(村上虹郎)は、一見普通の大学生だが、どこか心に傷を抱えた彼はすぐに銃の魅力に取り憑かれる。いつでも人を殺せる、いつでも自死できる。銃を持ったことで得られた圧倒的な全能感は、次第にトオルを危険な行為に駆り立てる。そして、突然の刑事(リリー・フランキー)の訪問。「次は、人間を撃ちたいと思っているんでしょ?」 そして、追い詰められたトオルがとった行動は? フィルムノワールの映像表現で純文学的な主人公の心理を見事に映像化した本作は、まさに鉛のような重みで見る者を圧倒する映画と言えるだろう。(加藤梅造)