ホンダ山本MS部長、スーパーGT最終戦に向けて『チームプレー』の可能性を否定。「予選からガチンコでいく」

 11月7日、ホンダ青山で行われたSRS-K/Sの新体制発表会。これまでの中嶋悟校長に代わり、佐藤琢磨がプリンシパルに就任することが明かになったが、その発表会の場でホンダの山本雅史モータスポーツ部部長が今後のSRS-K/Sへの期待を語るとともに、今週末のスーパーGT最終戦、100号車RAYBRIG NSX-GTのタイトル獲得に向けての並々ならぬ意欲を語った。

 SRS-K/Sの会見の冒頭に登壇した山本MS部長は、まずは今季の四輪のモータースポーツ活動を振り返った。

「今年のF1では新たなチャレンジとしてスクーデリア・トロロッソとタッグを組みました。今年はアップダウンはありましたがホンダ、そしてチームともに非常にいい雰囲気で、まだまだではありますが開発も進んできており、来季に向けて活動しているところです。F1も残りブラジル、アブダビになりまして、来季からはご存知のようにレッドブルとコンビを組ませて頂いて、来年は飛躍の年ということで我々一丸となって頑張ってまいりたい」

 そして、山本部長は先日のスーパーフォーミュラで見事、チャンピオンに輝いた山本尚貴を祝福。そして同時に、スーパーフォーミュラ、スーパーGTの同一年でのダブルタイトル獲得に向けて、並々ならぬ意気込みを語った。

「先日、鈴鹿サーキットで行われたスーパーフォーミュラ最終戦で、山本尚貴選手が見事に優勝して頂き、ホンダとしても2013年以来となるシリーズチャンピオンを獲得することができました。これもみなさまのご支援のもと、大変、ありがとうございました。合わせてですが、今週末のスーパーGTでは、トヨタとの一騎打ちになると思いますけどGT500クラスのチャンピオン争いが行われます。ダブルタイトルをどうしてもほしいので、何が何でもタイトルを獲りにいこうと(HRD Sakura)研究所と一枚岩になって今週はチームも含めてタイトルを獲得しに行きたいと思います」と山本MS部長

 近年のダブルタイトルは2004年のリチャード・ライアン、そして2003年の本山哲まで遡らねばならず、いずれもニッサン陣営。ホンダとしては初となるダブルタイトルの可能性が今週末のスーパーGT、RAYBRIGの山本尚貴に懸けられている。会見後の山本部長に、改めてスーパーGTもてぎ戦について聞いた。

 戦略的に焦点となるのが、ホンダとして『チームプレー』を行うかどうかだ。前回のオートポリス戦ではトムスチームのトップ争いになり、トップを走行していた36号車au TOM’S LC500が、2番手1号車KeePer TOM’S LC500と順位が代わり、KeePerが優勝したことで100号車RAYBRIGと1号車KeePerが67ポイントの同ポイントでランキングトップに並んだ。

 スーパーGTのレギュレーションではチームオーダーは禁止されていないものの、ペナルティ対象となる可能性が明記されている。メーカーバトルでもあるスーパーGT500クラスの戦いでは、最後には『チームプレー』がタイトル獲得へ必要な戦略になる場合がある。だが、山本MS部長はその『チームプレー』を明確に否定した。

「100号車と1号車の一騎打ちになるでしょうけど、トヨタは総力戦で来るでしょうね。チームプレーはあると思っています。ホンダ陣営としましては、ガチンコで予選から各チーム、ガンガン行かせます。小細工してうまくいくようなチームプレーは、ホンダ陣営には臨めないでしょう(苦笑)」

 山本部長としては、100号車以外のNSXが優勝することも大歓迎だ。

「基本はガチンコで、予選ではトップ5中、4台ホンダが入るように指示は出しました。まず、予選のフロントロウをホンダ陣営でしっかりと占めたい。もちろん、100号車以外のチームが勝ってもいい。大事なのは100号車が1号車の前でフィニッシュすること」

 ホンダ陣営としては2008年以来、GT500クラスではタイトルから遠ざかっている。

「この10年間、何をしていたのかという思い。ホンダとしては初めてのダブルチャンピオン、なんとしても狙いたい」と、タイトル獲得への意欲を改めて強調した山本MS部長。

 前回のオートポリスでは予選で上位を独占しながらも、タイヤのピックアップ(タイヤかすが取れずに表面に付着してグリップダウンを招く症状)が起きて、決勝では大きく順位を下げた。マシンの速さはあるものの、タイヤとのマッチング、ピックアップがもてぎでも課題となりそうだ。

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