広島中央署盗難8572万円どう補填 税金投入に反対の声

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 広島中央署の金庫から広域詐欺事件の証拠品8572万円が盗まれた事件は、広島県警が容疑者を特定し、現金を取り戻さない限り、補填(ほてん)という課題は解消されない。広域詐欺事件で公判中の被告の男の判決が出るまでに回収できなければ、いったん県費で補うことが想定されるが、県費で穴埋めすることには県民の間で反対や不安の声が多い。県警は、税金を使わない方法を検討しているとみられる。

 8572万円は、生前贈与をかたって現金をだまし取ったとされる広域詐欺事件で組織犯罪処罰法違反罪などに問われ、広島地裁で公判中の被告男の関係先から昨年2月に押収された。この金の扱いは裁判の進展次第で、二つのパターンが想定される。

 一つは、裁判所が犯罪被害財産と認め、追徴などを命じるケース。この場合、8572万円を含む現金は被害回復給付金支給制度に基づき、詐欺事件の被害者への返還に充てられる。もう一つは裁判所が犯罪被害財産と認めないケースで、県警は被告側に金を返還する流れとなる。

 裁判の判決時期の見通しは立っていないが、いずれのケースでも判決までに現金が回収できていなければ穴埋めせざるを得ない。その場合、いったんは県費を充てることになるとみられる。

 ただ、税金である県費で補填すれば県民の反発が予想される。今年4月、中国新聞が読者を対象にインターネットで実施したアンケートでは「警察署で起きた事件。警察関係者とOBで弁償すべきだ」「被害金を税金で補填するのではないか不安」など、公費での補填を危ぐする意見が相次いだ。こうした県民感情などを踏まえ、県警は税金を使わない方法を検討しているとみられる。

 昨年5月に8572万円の盗難が発覚して以来、県警は捜査員延べ約3万6千人を投入。内部の犯行とみて、中央署の会計課の職員や詐欺事件の捜査担当課の警察官、OBたち約600人から事情を聞いた。金融機関の口座の出入金などを調べるための照会は約5万8千件に上ったという。しかし、現時点で関与を裏付ける有力な証拠は得られておらず、容疑者の特定には至っていない。