中間選挙、その後は

 英語のことわざ辞典で見つけた。と言っても、日本語の訳と解説がちゃんと付いている。「背中をかいてくれれば、君の背中もかいてやろう」。日本で言う「魚心あれば水心」に当たり、世の中は持ちつ持たれつ、お互いさま、という意味らしい▲そんなことわざの出る幕もない。米国の中間選挙は上院で与党の共和党、下院で民主党が勝ち、議会はねじれた。お互いに爪を立て、より激しく引っかき合うとみられる▲民主党はロシア疑惑などトランプ氏の追及に動き始める。法案も予算の審議も滞るに違いない。「トランプたたき」は目に見えていて、政権基盤は弱まること必至▲とは言っても、敵をつくってはののしるトランプ氏の口調はこれで緩むのか。「米国第一」と叫び、排外主義を唱える声量は弱まるか。どうもそうとは思えない▲外交に活路を見いだそうにも、中国とは貿易でぶつかり、ロシアとは核軍拡を巡ってぶつかっている。自国は新型の核開発を進めておいて北朝鮮には非核化を迫るという“矛盾”もある。「内憂外患」とはさて、英語で何と言うのだろう▲日本はその国に、自由貿易や平和主義を訴えるべき立場だが、説得できる弁舌と、傾ける耳と、双方にあるのかどうか。トランプ氏が誰かと優しく背中をかき合う姿がまるで思い描けずにいる。(徹)

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