【ルック】ビンディングペダル解体新書2018

ルック KEO系ペダル

細かな味付けを変えて、使用目的ごとに最適化されるルック・ケオシリーズのペダル3種類を比較した。

KEO BLADE CARBON
KEO2 MAX
KEO BLADE

今日広く使われている、ロードバイク向けビンディングペダルの礎を築いたのがルック。同社がスキー用のビンディングを手掛けていたことから、そのアイディアを自転車向けに応用したのが始まりとされ、現在同社はロードフレームを含めた自転車事業へ主軸を移している。

クリート中央部にあるゴム部品は、内部にメモリークリップという部品が埋め込まれており、クリートを交換する際に以前と同一位置に装着できるというもの。シディなど一部のシューズメーカーがこのメモリークリップに対応したナットをソールに設けており、両者を組み合わせることでスムーズなクリート交換を実現している。

ケオシリーズは、グレードごとにスタックハイトやリリーススプリングの強さが異なり、使用目的やフィールドに応じた細かな味付けがされているのも特徴。空力と軽量性を両立するカーボン製のリーフスプリングを最初に実用化させるなど、ビンディングのパイオニアとしての存在感は今でも高い。

クリートの動き

リリーススプリングテンション:mini 5.2kg〜max 7.2kg ※ケオブレードカーボンの場合

ケオのクリートも、シマノ・SPD-SL同様にフローティング角は3種類。9度(レッド)/ 4.5度(グレー)/0度(ブラック)となっている。シマノとの表記の違いとして、ルックは左右の可動角トータルとしての角度なので、ルック風に表記するなら、シマノの黄色クリート(3度)は6度のフローティングとなる。

そのフローティングの動きも、SPD-SLとケオでは異なる。SLD-SLの黄色クリートが、ペダルのセンターを中心に動くのに対して、ケオはクリート先端部を中心とした円弧。これはちょうど、SPD-SLの青クリートと同様といえる。

また、メモリークリップ部にあるゴム部品は、ペダルボディとのフリクションを発生させるため、フローティングに若干の抵抗を演出。動くけれど動きすぎない、という作動となっている。

※リリーススプリングテンション:今回編集部では、何㎏でリリースされるかを実測した。

フローティング角9度(レッド)
フローティング角4.5度(グレー)
フローティング角0度(ブラック)

ルック・ケオグリップクリート(レッド/グレー/ブラック)

価格:2500円(税抜)

ルック・ケオクリート(レッド/グレー/ブラック)

価格:1900円(税抜)

※写真はグレーのみケオグリップクリート

KEO BLADE CARBON

KEO BLADE CARBON

価格:3万7000円(税抜・チタンアクスル)、2万3000円(税抜・クロモリアクスル)

※今回はチタンアクスルを計測

硬めのカーボンブレードを採用し、ロードレースに特化

KEOシリーズのトップモデル。〝ブレード〞と呼ばれるカーボン製の板バネを用いることで、ペダル裏面のスムージング化(空力性の向上)と、軽量化を達成している。スプリングの特性上、無段階の硬さ調整はできない。12Nmと16Nmの2種がペダルに付属するほか、スペア用としてさらに強力な29Nmという硬さも用意され、用途や好みに応じて交換することになる。

計測値

①スタックハイト:14.8mm

②Qファクター:53mm

③フローティング角度:0度/ 2.25(4.5)度/ 4.5(9)度

④リリース角度:13.25度

⑤リリーススプリングテンション:5.2kg(12ブレード)~ 7.4kg(16ブレード)

⑥クリート調整幅:3.6mm(左右)、9.3mm(上下)

⑦重量:254g(クリートを含む左右ペア&取り付けボルトのセット/サンプル実測値)

⑧ロードクリアランス:―

⑨プラットフォーム幅:67mm

⑩ベアリングサポート幅:48mm

KEO2 MAX

KEO2 MAX

価格:1万2000円(税抜)

クリートの動きを把握しやすいKEOシリーズの定番モデル

クラシックな金属バネモデルもまだまだ人気が高い。スプリングテンションを8~12Nmで変えられるのもさることながら、SPD-SLに比べるとキャッチ&リリースのオンオフがはっきりと分かれており、把握しやすいというのもケオ系の特徴となっている。ボディはカーボンコンポジットとレジンの2種類が用意される。

計測値

①スタックハイト:17.3mm

②Qファクター:53mm

③フローティング角度:0度/ 2.25(4.5)度/ 4.5(9)度

④リリース角度:13.25度

⑤リリーススプリングテンション:4.0kg ~ 6.9kg

⑥クリート調整幅:3.6mm(左右)、9.3mm(上下)

⑦重量:326g(クリートを含む左右ペア&取り付けボルトのセット/サンプル実測値)

⑧ロードクリアランス:―

⑨プラットフォーム幅:60mm

⑩ベアリングサポート幅:40mm

KEO BLADE

KEO BLADE

価格:1万6000円(税抜)

柔らかめのカーボンブレードで、日常の使いやすさにも配慮

ケオブレードとケオブレードカーボンは、ボディがカーボンかレジンかという素材の差異にとどまらない。ケオブレードカーボンが先端に円筒ベアリングだけを使っているのに対し、ケオブレードではさらに汎用的なカートリッジ式ベアリングを追加。広いベアリングサポート幅も含めて、とにかく回転部の耐久性が重視されている。付属ブレードも8Nmと12Nmと弱め。ブレード自体はそれぞれのモデル専用の形状/厚さのため、流用できない。

計測値

①スタックハイト:15.8mm

②Qファクター:53mm

③フローティング角度:0度/ 2.25(4.5)度/ 4.5(9)度

④リリース角度:13.25度

⑤リリーススプリングテンション:2.4kg(8ブレード)~ 3.6kg(12ブレード)

⑥クリート調整幅:3.6mm(左右)、9.3mm(前後)

⑦重量:315g(クリートを含む左右ペア&取り付けボルトのセット/サンプル実測値)

⑧ロードクリアランス:―

⑨プラットフォーム幅:60mm

⑩ベアリングサポート幅:53mm

LOOK user’s voice

実際にこのシリーズのペダルを使用している人に、気に入っている点やクリート選択理由などについて聞いた。

ケオ2マックス カーボン愛用中

サイクルスポーツ編集長 吉本 司

今まで主要ビンディングペダルは全て使った。そんな中でルックを選ぶのは、適度な剛性感ゆえ。さら足のときはSPD-SLのダイレクトなペダリングフィールは気持ちいいが、長距離では硬いものを踏むような感覚が強く足にストレスを得やすい。また随一ともいえるキャッチ&リリースの良さは長距離や悪天候でも使用のストレスがないし、ビンディング部の構造もシンプルなのでトラブルは出にくい(ベアリング部はガタが出やすいか)。

そしてクリート価格も手頃だ。傑出したスペックはないものの総合力の高さは、さすがビンディングペダルの先駆者だ。現在はケオ2マックスカーボンとケオブレードカーボンを併用している。ペダリングの安定性はスタックハイトの低いブレードに分があるが、ケオ2マックスの方がクリートの保持力が強い印象がある。その安心感から後者の方が好きだ。

ケオ2マックス カーボン愛用中

cyclesports.jp編集長 中島丈博

過去にシマノSPD 、シマノSPD-SL、ルック、タイムを使ってきて、今はルックとタイムの併用に落ち着いている。足まわりはインソール、シューズはフルカーボンの硬いと言われるモデルを使ってきて、それなりの好感触を得ているが、ペダルはちょっと''ラフな感じ''を持っているパーツが好き。タイムはフロートシステムが気に入っているので、0度タイプのクリートは使わないし、ルックは右が4.5度タイプ(グレー)、左が9度タイプ(レッド)を使っている。

自分の体の状態が左は脚が長いけど、動きが悪い。右は利き脚だけど短い。このバランスをとるためのチョイスだ。シマノのペダルもいい製品だと思うけど、自分にとってはクリートが振れる支点の位置がどうもしっくりこない。

ケオブレードじゃなくて、ケオ2マックスが好き。

問・ ユーロスポーツインテグレーション
TEL 03・3329・1065

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