買収前に民有林伐採、県と業者が確認ミス 西原村の砂防ダム工事

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県と業者の確認ミスにより民有林約200本が地権者に無断で伐採された現場=10月26日、西原村布田

 熊本地震による大規模な土砂崩れで損壊した西原村布田の砂防ダム復旧の県工事で、県と施工業者間の確認ミスのため、約200本のスギやヒノキが地権者に無断で伐採されていたことが7日、分かった。このトラブルで工事の完了が遅れる見通しとなったが、県は状況を県議会に報告していない。

 県阿蘇地域振興局土木部によると、損壊した布田川にかかる砂防ダム(幅約110メートル、高さ約15メートル)の復旧工事。当初の工事面積は約1ヘクタールで、総事業費約5億3千万円。丸昭建設(人吉市)など3社でつくる共同企業体(JV)と3月に契約し、来年3月に完工予定だった。

 今年6月、業者側から「作業機材を置く場所が必要」と申し出があり、県が新たに2770平方メートルを追加買収することになった。7月に入り、業者が追加買収予定地の木を切り取ったが、県と地権者3人との買収交渉はまだ行われていなかった。県は8月上旬に事態を把握した。

 熊日の取材に対し、業者側は「もう、木を切っていいかと県に問い合わせ、『いい』ということだったので切った」と説明。県は「追加用地ではなく、買収済みの当初用地の伐採だけを許可したつもりだった。情報共有ができていなかった」と釈明した。

 県と業者は地権者に謝罪し、あらためて追加用地を買収。工事は約2カ月半中断し、県は「完了時期は未定だが、工事の詳細が確定してから説明したい」として、県議会9月定例会への報告を見送ったという。

 県は「砂防ダムは人命に関わる事業なので確認ミスによる工事の停滞を重く受けとめている。業者と協力し、できるだけ早く完成できるようにしたい」としている。