住友電工、焼結製品の技術開発で岡山工場内に新拠点

 住友電工は2019年7月をめどに焼結製品の新技術開発拠点を設ける。焼結製品の国内主力拠点である住友電工焼結合金・岡山工場(岡山県高梁市)に建屋を建設。製品特性や生産効率を高める新技術を盛り込んだ製造ラインを導入する。焼結鍛造や成形体加工の生産技術を実機を活用するなどして磨き、世界各地の製造拠点に展開する役割を担う。投資金額は約10億円。

 新拠点は岡山工場の第7工場として開設する。現行工場の近隣に約1万平方メートルの敷地を購入し、約1700平方メートルの建屋を建設。量産向けではなく、技術開発のための「開発工場」として位置付ける。

 製造ラインを導入する焼結鍛造技術は鉄粉を焼き固めた後に鍛造し、焼結製品の密度や強度を高めるもの。16年に買収した米キーストーン社が製造ノウハウを有する。自動車用の変速機や減速機の歯車で焼結合金の採用を広げるため、新拠点で同社の技術を取り込み、全社的な水平展開に向けて標準化する。

 成形体加工は焼結前の柔らかい状態で穴開けや溝付けなどの加工を施す技術。加工効率を大幅に高めつつ、工具の摩耗を抑えられることなどが利点となっている。

 また、新拠点には焼結製品の生産工程をシンプルにする技術も導入するとともに、ショールームを設ける計画。技術開発に加えて顧客や学生へのPRにも活用する。焼結製品事業を担当する林哲也常務執行役員は「顧客に現場を見てもらい、焼結合金でさまざまな部品を設計してもらえるようにしたい」と期待している。

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