秦基博が2年ぶり新曲 ハマスタで初披露の「花」 アナログ盤と配信でリリース

 横浜育ちのシンガー・ソングライター、秦基博(はた・もとひろ)(38)が約2年ぶりの新曲「花」を発売した。昨年5月、デビュー10年を記念して、横浜スタジアムで行ったライブで初披露した曲。一人一人に語り掛けるように歌うバラードは、自ら立ち上げたレコードレーベルからアナログ盤と、配信でリリースされる。

 横浜市内の小学校に通い、リトルリーグに所属していた少年時代の夢は「プロ野球選手になること」。高校卒業後、横浜中華街にあるライブハウスで弾き語りを始めてからは、「いつかここに立ちたい」と、中華街に隣接する横浜公園を歩きながら同スタジアムを見上げていた。

 1999年の初ライブに集まったのは、10人にも満たなかった。しかし音楽、言葉と向き合い続けた日々が、プロへの扉を開き、ハマスタ公演が実現した。

 「初めの1~2曲は、現実感がなくて、ふわふわしていた」

 プロ野球横浜DeNAベイスターズのユニホームを着て登場した1部では、リリーフカーに乗って会場を一周。球場ならではの演出で沸かせた。笑顔が広がる客席を見渡し、「すごい景色だ」と感激した。

 バンドから、アコースティック編成に変えた2部は、これまでを振り返りながらも「最新の秦基博を見せたい」と、当時はワンコーラスだけができていた「花」の演奏を決定。聴き手の心に寄り添うような歌声で、2万5千人の心をつかんだ。

 大ヒットした「ひまわりの約束」を「アナログで聴きたい」という声が、秦の音楽への探究心を刺激。5月にアナログレコード専用レーベル「ホビーレス・レコード」を設立した。秦自身も「自分の曲をアナログで聴いたら、どんなだろう。そしてアナログで聴くことを念頭に置いたら、制作に変化が生まれるだろうか」と楽しんでいるよう。

 「花の命のめぐりを描こう」とギターをつまびきふくらんだ「花」は、ピアノ、チェロなどの演奏が加わり、温かみのある作品に仕上がった。

 「レコードからカセット、CD、そして配信。時代とともに音楽(を記録する)メディアは変化しているけれど、どの時代でも色あせない音楽を作りたい」

新曲「花」を発売した秦基博

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