「戦争の脅威知って」 長谷川忠雄さん著書「落葉して根に帰る」出版

満州で孤児、中国解放軍に入隊… 壮絶な半生つづる

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 戦時中に移住先の満州で家族を失い、中国共産党の解放軍に入隊していた長谷川忠雄さん(85)=佐世保市=が8日、長崎市で会見し、著書「落葉して根に帰る」(海鳥社)の出版を発表した。戦争孤児の困難を生き抜いた半生をつづり、「(本を通じて)戦争の脅威を次世代に引き継いでいきたい」と話している。
 長谷川さんは家族の移民先のブラジルで生まれ、再移住した満州の富錦で育った。1945年8月11日、ソ連軍が砲撃を開始。家族とともに隣町へ逃避行中に2人の姉を亡くし、目の前で父は匪賊(ひぞく)に銃殺された。母も同じく匪賊に殺され、長谷川さんと2歳下の弟文夫さん(故人)だけが満州の地に取り残された。
 その後、ソ連軍に捕らわれ、土下座の状態で銃口を向けられた。間一髪で仲介に入り2人の命を救ったのは、日本の占領下で虐げられたはずの中国人だった。著書では当時の心境を「地獄の一歩手前で仏様に救われた気持ち」と表現する。
 中国の日本人収容所などを経験した後の46年、満州で生き抜き日本へ帰ることを願い解放軍に入隊した。当時まだ13歳。戦車整備兵として働き、49年の建国式典でパレードにも兵士として参加した。53年に帰国。現在まで中国人強制連行の問題で現地調査や訴訟の原告の通訳などに関わり、日中の平和構築に向けた運動を続けている。
 壮絶な半生を描いた著書の結びで「悲惨な戦争時代を知らない若い人たちに戦争の理不尽さとその悲劇を知ってもらいたい」と願いを記した。A5判226ページ。1800円(税別)で県内の書店などで販売している。

壮絶な半生をつづった本を出版した長谷川さん=長崎市役所