【平成の長崎】炭鉱閉山、大半が島外へ 池島中学校卒業式 平成14(2002)年

 池島炭鉱が閉山した長崎県西彼外海町池島の町立池島中学校(杉澤伸慈校長、148人)で14日、卒業式があった。3年生57人と、1、2年生の大半が3月末で島を去って各地に離散するだけに、会場は惜別の雰囲気に包まれた。

 全校生徒、保護者、来賓ら約100人が出席。元炭鉱マンの父親の姿も多く、子どもたちの門出を感慨深げに見守った。

 西彼崎戸町出身で、高校卒業直後に三菱崎戸鉱の閉山を経験した杉澤校長は「ヤマの灯は消えても心の火は消えない。戦後の復興を支えたヤマの男たちの子どもとして、自信と誇りを持って歩んでほしい」と声を詰まらせながら式辞を述べた。

 生徒会長の山下俊彦君(15)は門出の言葉で「暗闇で真っ黒になって働き、私たちを育てたお父さん、お母さん、ありがとう」と感謝。「1、2年生が転校する学校の人たちは仲良くしてあげてください。池島を去る人も、残る人も、どんなに遠く離れていても心は一つです」と涙をこらえ、懸命に呼び掛けた。

 最後に全員が力強く「巣立ちの歌」を合唱。式後も生徒たちは記念写真を撮ったり、色紙を交換していつまでも名残を惜しんでいた。

 炭鉱全盛時の池島中の生徒数は約600人に上ったが、同町教委によると、新年度の生徒数は新入生を合わせて28人になる見込み。
(平成14年3月15日付長崎新聞より)
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【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

1、2年生や教員に見送られ、校舎を後にする卒業生=長崎県西彼外海町池島、池島中

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