国防の「最前線」学ぶ SASEBO軍港クルーズ体験

©株式会社長崎新聞社

 「米海軍の強襲揚陸艦『ワスプ』が私たちの右手に見えています。全長257メートル、重さ約4万トンと、非常に巨大です」-。佐世保港の洋上。クルーズ船のスピーカーから、ガイドの吉川拓朗さん(40)の滑らかな解説が聞こえてきた。

 11月初め。佐世保港に点在する海上自衛隊や米海軍佐世保基地について理解を深めようと、港内を巡り艦船や貯油施設、弾薬庫などを見学できる「SASEBO軍港クルーズ」を体験した。

 新みなとターミナル(長崎県佐世保市新港町)前の桟橋から安栄丸水産ばらもんのクルーズ船「マリンサポートⅢ(2162)」(19トン)に乗った。船は乗客約70人を乗せて出港。横浜市の会社員、小磯大介さん(42)は「佐世保を訪れた際は、必ず乗っている。艦船を海外など別の場所で見ると、『また合えた』と興奮する」と魅力を話した。

 海自護衛艦「いせ」「ありあけ」「さわぎり」…。さまざまな艦船が目に入ってくる。陸上で見るより距離が近いため、迫力は十分だ。と同時に、国防の“最前線”を実感した。港内の米軍施設には、膨大な燃料や弾薬が保管されているという。参加者の表情が少し、こわばった。

 続いて眺めた針尾島の浦頭港には戦後、多くの在外邦人が引き揚げた。「この港から全国に帰った人たちが、戦後日本の礎を築き、繁栄をつくりました」。吉川さんの言葉に、思わずうなずいた。3基ほどのクレーンが見えた。大型クルーズ船が接岸できるように整備が進んでいる。これから“新たな顔”を見せるのだろう。

 クルーズでは、基地とともに歩んできた佐世保の今と昔を垣間見ることができた。「極東の平和と安全を担う海上の要衝として、平和を祈る街長崎とともに平和を守る街佐世保として発展を続けています」。吉川さんの言葉が印象に残った。

 桟橋が近づいてきた。乗客は満足そうな表情を浮かべていた。「艦船だけでなく、佐世保の歴史に触れた説明が、分かりやすかった」と、大阪府河内長野市の会社員、片井裕規さん(30)。基地の街佐世保の特徴は伝わっていた。私もしっかりと読者に伝えたい。そう考えながら船を下りた。

    ◇   ◇ 

 クルーズは、佐世保観光コンベンション協会と海運会社が協力して運航。定期便(定員80人)1便が土日祝日の1時間、港内を巡る。1~3月は休止。チャーター便もある。料金は中学生以上が2千円、小学生千円。問い合わせは佐世保観光情報センター(電0956・22・6630)。

洋上から海自護衛艦「さわぎり」を見学する乗客=佐世保港
基地の街佐世保の今と昔を学べるクルーズ船