入管法改正でも人手不足の解消遠い? 30年推計なお600万人超足らず

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外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法などの改正案は13日の衆院本会議で審議入りする。景気回復や少子高齢化を背景に人手不足感は高止まりしており、改正案を評価する声も多いが、「解決につながらない」とする業界もある。政府の方針通り来年4月から外国人の受け入れが増えても将来は600万人超の人手不足に陥るとの推計もある。過去には景気悪化で多数の外国人労働者が失職した経緯もあり、慎重な制度設計が必要だ。

日本商工会議所が今春、全国の中小企業を対象に実施した人手不足調査(回答率65・1%)では回答企業2673社のうち65%が「不足」とした。近年は毎年5ポイント前後、不足感が増加している。業種別では宿泊・飲食業(79・1%)、運輸業(78・2%)、建設業(75・6%)が目立つ。外国人材の受け入れは検討中も含め42・7%が「ニーズがある」と答えた。

足元では悪影響も出ている。帝国データバンクの調査で2018年4~9月に倒産した企業のうち「人手不足」によるものは76件。上半期で過去最多だった。

政府は建設業や農業など14業種で受け入れを検討しており、「有効求人倍率は約3倍。一定技術がある外国人材を5年間受け入れられれば責任ある配置が可能だ」(日本鋳造協会)などと歓迎の声が聞かれた。

一方、運輸業は対象外。日本バス協会が昨冬、会員約300社に実施した調査では約8割が「運転手不足」としたが、政府に受け入れ要望はしていない。協会担当者は「運転手は事故など緊急時の対応も求められる。外国人労働者が増えても根本的な解決にはつながらない」と明かした。

国内で働く外国人は17年時点で約128万人。パーソル総合研究所(東京)と中央大学は外国人労働者は受け入れ拡大に伴い、30年までに約81万人の増加余地があると推計する。それでも少子高齢化などの影響で国内の人手不足は30年に約644万人に達し、九州では約67万人の労働力が足りない見込みという。

改正案は人手不足が解消された場合は、その分野での受け入れを停止すると明記している。08年のリーマン・ショック後、自動車工場などで外国人が大量解雇された。政府は翌年、帰国支援事業を打ち出し、30万人超の在留ブラジル人は一時、ほぼ半減した。

中央大の阿部正浩教授(労働経済学)は「景気が悪化した時に外国人労働者を帰国させるのは容易ではない。不法滞在などを生む懸念もあり、十分な議論が必要だ」と指摘した。

=2018/11/11付 西日本新聞朝刊=