同一災害なのに…全壊支援金に地域差 国「被災世帯数」で支給可否 対象外に救済ない県も

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大規模災害で自宅を失うなどした被災者に最大300万円を支給する「被災者生活再建支援法」の成立から今年で20年。適用された災害は熊本地震や九州豪雨など70件を超す。ただ、同一市町村内で「全壊10世帯以上の被害」などがないと対象外になるため、全壊被害に遭っても居住地域によって支援金をもらえないケースがある。独自の支援制度を設けて法の「穴」を埋めている都道府県がある一方、財政的理由で制度創設をためらう県もあり、被災者支援に格差が出ている。

7月の西日本豪雨では、12府県88市町村(9月時点)に同法が適用された。一定数以上の半壊や床上浸水被害のあった市町村にも適用され、九州は福岡県の北九州市、久留米市、飯塚市、嘉麻市と佐賀県基山町の計28世帯(10月時点)が支援金の対象になった。

福岡県では八女市など4市町でも計4世帯が全壊被害を受けたが、法の適用要件を満たさず対象外に。このため、県は対象外の被災者にも県費から法と同額を給付する独自制度を活用して救済。県福祉総務課は「被災者間で不公平感が出ないよう配慮するのも行政の役目」と強調する。

佐賀県では基山町が人口5万人未満の市町村に特例適用される「2世帯以上の全壊被害」との要件を満たした一方、人口23万人強の佐賀市は全壊が嘉村利喜男さん(71)の1世帯のみで要件に満たなかった。

嘉村さんは自宅があった場所から2キロ離れた市営団地で妻と仮住まいを続ける。別の場所での住宅再建なども検討しているが、重い個人負担を考えると踏み切れない。「同じ全壊被災者なのに、受けられる支援に差があるのはおかしい」

同県は法と同等の支援制度を設けておらず、消防防災課は「自前での支援が必要かも含め検討を始めている」と述べるにとどめた。

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独自支援の内容にも九州内で差がある。福岡県のほか、大分県も同法の対象から漏れた全壊世帯に最大300万円を支給。熊本県も状況に応じて同額を支給している。財源は大分が被災市町村と分担、福岡と熊本は県が全額負担する。

宮崎、鹿児島両県にも市町村と共同で費用を拠出する制度はあるが、全壊世帯への支給額は一律20万円。長崎県には独自支援制度自体がない。佐賀県も含めた4県は、法と同程度に支援を引き上げない理由について「財政負担の重さ」を挙げる。ある県は「支援に格差が出ないよう国が手だてしてほしい」と訴える。

全国知事会は今月9日の会議で、支援制度の拡充を国に求める提言を正式決定。室崎益輝・兵庫県立大大学院教授(防災計画)は「支援法成立当時に比べ、大規模災害は頻発し広域化している」と指摘し「同じ災害による同じ被害なら、国は居住地域を問わず全て法制度の適用対象にすべきだ」と話す。

【ワードBOX】被災者生活再建支援法

1995年の阪神大震災を受け、98年に成立。「10世帯以上の住宅が全壊した市町村」「100世帯以上が全壊した都道府県」などの要件を満たした自治体に適用し、全壊世帯などに支援金を支給する。当初は最大100万円だったが、その後300万円に増額された。財源は都道府県が拠出する基金で、国が半額を補助する。

=2018/11/11付 西日本新聞朝刊=