初出場者支援 実結ぶ 大分国際車いすマラソン大会 その先へ①

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「どこまでできるか試してみたい」。ベテランの指導を受けて練習に励む斉藤竜一(中央)=大分市のだいぎんグラウンド

 1週間後に迫った。

 出場するハーフ(21・0975キロ)の道のりは、18歳の「僕」をどのように迎えてくれるのだろう。

 競技歴は1カ月に満たない。臼杵支援学校高等部3年の斉藤竜一(臼杵市市浜)は思い切って、平成最後の大会にエントリーした。

 今年から始まった初出場者の支援制度「ファースト・チャレンジ・アシスト」に手を挙げたのは、自分に負けたくなかったからだ。

(担任が背中押す)

 先天性の二分脊椎症で足に障害があり、今もリハビリに通う。レースを間近で見たことはない。「一緒に頑張ろう」。担任教諭の菅原信之(59)に背中を押され、その先へ、一歩を踏み出す覚悟を決めた。

 10月28日。大分市のだいぎんグラウンドであった練習会で初めてレーサー(競技用車いす)に乗った。

 「コントロールするのが難しい。だけど楽しい」。トラックを周回するたび、速度は上がっていった。

 指導役で並走したベテラン選手の渡辺習輔(50)=別府市汐見町=はうれしかった。「初めてにしては十分な出来だ。5キロの関門も突破できるんじゃないか」

(少ない若手選手)

 大会は1981年、世界の車いすマラソンの草分け的存在として始まった。

 近年は障害者スポーツが多様化したこともあり、第10回大会(90年)で441人を誇った参加者数は、第36回大会(2016年)で230人に半減した。

 特に若手が少ない。今大会にエントリーした252人のうち、20代以下は2割の52人。競技人口の裾野をどう広げるか。初心者のサポートはその策の一つだ。

 支援制度の公募者に高額なレーサーを貸し出し、グローブやヘルメットを支給することで今回、県内の16~24歳の男性3人が初出場を決めた。

 「競技の面白さが伝わり、続ける人が増えてくれれば」。大分身体障害者陸上競技協会長の佐藤隆信(56)は願う。

待ち遠しい号砲

 斉藤は現在、大分市田ノ浦で自主練習に取り組めるほど成長。風を切っていると、先輩ランナーが声を掛けてくれるのも心強い。

 レースのイメージはまだ湧かない。ただ「世界のトップ選手と同じ大会に出られるなんて光栄です」。

 完走できるだろうか。

 声援は大きいだろうか。

 僕は変われるだろうか。

 栄光のスタートラインに並ぶのが待ち遠しい。

 =敬称略=

 第38回大分国際車いすマラソン大会(大分合同新聞社など主催)は18日、大分市内のコースで開かれる。昨年は台風接近で中止され、レースは2年ぶりとなる。挑戦者、トップアスリート、支援者…。それぞれの思いに迫る。 (5回続き)