残業代1時間300円、受け入れ以前の問題だ

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安倍晋三総理は外国人労働者受け入れ拡大のため創設をめざす新制度に関し「日本人と同等の報酬を確保する」と7日の参院予算委員会で賃金待遇について答弁した

 安倍晋三総理は外国人労働者受け入れ拡大のため創設をめざす新制度に関し「日本人と同等の報酬を確保する」と7日の参院予算委員会で賃金待遇について答弁したが、それ以前に国際問題にもなりかねない深刻な問題の解決に取り組むべきだ。

 外国人実習生を受け入れる側で不当な扱いをしている事業者への取り締まり強化や被害救済策などをこそ最優先すべきだ。立憲民主、国民民主、無所属の会、日本共産、自由、社民の6党会派が8日に行った外国人労働者問題に関するヒアリングでも外国人技能実習生の深刻な声があったと各党が指摘している。

 中国・モンゴルからの技能実習生は「縫製の仕事に就いたが、朝8時から深夜12時まで働かされた。残業代は1時間300円しか支払われなかった」。明らかな違法行為。「職場でいろいろないじめを受けた。職場の転換を求めたが認めてもらえず、悩んだ末、自殺未遂を図った。うつ病になって治療している」(立憲民主党HP)。

 「建設(鉄筋施工、型枠施工)業を学ぶはずが、こうした名目の仕事は一切なく、必要な教育も事実上行われないまま、除染作業に日給5600円(一般の除染作業労働者は1万6000円から2万円程度で募集)で300~400日従事させられていた」(同)。雇用側のピンハネ、搾取としか解せないケース。こうしたケースを再発させない仕組みづくりこそ、早急に必要だ。

 外国人労働者の就労実態がどうか、国会ではそこから審議を始めなければならない。入管管理局が失踪した実習生約2900人から聞き取った聴取票について、開示を渋っているようだが、個人情報部分を黒塗りにし、ほかは全面開示して、与野党の国会議員がありのままを正確に知ることができるようにすることでこそ、法案審議で正しい判断、修正意見が提起できる。その前提を整えるべきだ。長妻昭元厚労大臣が提起するように裁量労働制拡大狙いの時に似ている。

 立憲の政調審PTは外国人受け入れ制度、多文化共生社会の在り方に関する論点整理で「外国人労働者の受け入れは決して安価で従順で使い捨て可能な労働力の調達を目的としてはならない」と明記。「そういう結果に陥らせてもいけない」と警告する。

 「日本で働きたいとの夢や希望を持って来日し、懸命に頑張ってきてくれている外国人労働者たちが、日本には二度と来たくない、日本を選んだのは失敗だったと絶望して帰国するような状況を、これ以上、続けさせてはならない」とすることの「実態の深刻さ」に政府・与党はしっかり耳を傾けるべきだ。

 来年4月施行と「おしりを切って審議をするような内容ではない」。政府・与党は経団連の下請け政策でなく、外国人労働者との共生社会の実現にどうすることがベストなのか、その視点で、時間をかけ審議するよう強く求めたい。(編集担当:森高龍二)