珍味「さけのよ」8年ぶり復活(11月11日)

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 楢葉町の木戸川漁協は今秋、サケの珍味「さけのよ」を八年ぶりに復活させた。砂糖や、みりんなどを合わせた調味液に切り身を漬け込む。温風で乾燥させ、うまみを凝縮する。そのまま食べてもいい。あぶれば、風味と香ばしさが増す。

 サケ漁は今年、震災後、四年目を迎え、十月十五日に始まった。さけのよの再開に備え、乾燥機を買い換えた。組合員は味をよみがえらせるため試作を重ねた。六十グラム入り一袋五百四十円(税込み)で漁協の販売所に並ぶ。懐かしむ人が立ち止まる。町は、ふるさと納税の返礼品にも使う。

 県水産課によると、震災前、浜通りの九つの河川でサケの採捕、ふ化放流事業が行われていた。震災によって休止したが、六つの河川で再び始まった。木戸川漁協は今期、四千五百匹の水揚げを見込む。最盛期には及ばないが、昨期の三千四百匹余りを上回る。「以前の活気を取り戻したい」。組合員は地域の食文化を守り、後世に伝える。

 四年ほど海で過ごし、生まれ育った川に戻る。産卵前の今、脂が乗る。イクラの粒も膨らむ。塩焼き、鍋、炊き込みご飯…。調理法は幅広い。近い将来、豊漁が戻る姿を願いながら、旬の食材を味わおう。