秋が深まると思い出す…

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秋が深まると思い出す。4年前の11月に続けて他界した2人の国民的俳優。福岡県出身で享年83の高倉健さんと、福岡県内で葬儀があった享年81の菅原文太さん

▼晩年の2人は、高倉さんは映画の中で心の形を探し、菅原さんは銀幕から離れて国の形を探した。高倉さんに比べると報じられることが少なかった菅原さんの晩年を回想したい

▼11年前にぼうこうがんを発症した菅原さんは、妻文子さんと山梨に移り住んだ。農業をしながら日本の農業を考えた。原発や憲法、沖縄についても考え、講演などで話した

▼主演した映画のせりふを借りていえば「こがいなことで日本はええんですかいのう」の晩年だった。俳優になるずっと前、仙台一高時代には新聞部にいた菅原さんにはそんな言い方も似合う(同じ新聞部の1年後輩に作家の故井上ひさしさんがいた)

▼夫を家族葬で送ったあと文子さんが出したコメントにこうあった。「『落花は枝に還(かえ)らず』と申しますが、小さな種を蒔(ま)いて去りました」。文太さんが蒔いた種に文子さんが水をやり、遺志を継いだ

▼文太さんの対談を4年前まで連載した月刊「本の窓」(小学館)の最新11月号に初めてエッセーを寄せた。9月の自民党総裁選について「与党国会議員たちのほとんどが、安倍川の決壊を防ぐ土嚢(どのう)に過ぎないことが分かった総裁選だった」などと書き起こしている。こんなことで日本はいいの?と。

=2018/11/11付 西日本新聞朝刊=