遊技場のメダルシステムで業界一 ジェッター 佐世保から世界へ 工業会企業の「技術力」・5

 トップを走り続けるためには、高品質を目指し製品の改良を続ける探求心が欠かせない。
 遊技場のスロット台にメダルを自動で補給、回収、研磨までをするシステム「ジェッターライン」を約30年前に開発、販売を始めた。今も売り上げの9割を占める主力商品だ。システムの導入シェアは、業界ナンバーワンを誇る。
 週に1度開く開発会議では、製品の改善点を出し合う。失敗を繰り返しながら開発し、完成しても品質にはこだわり続ける。壊れやすいメダルの通り道やメダルをためるタンクの形状は、何度も改良を加えてきた。

システムを構成するベルトコンベヤーを組み立てる従業員=佐世保市小佐々町、セイエイ

 「時代の流れは速い。新たな工夫や開発も、すぐにほかの業者が追いついてくる」。藤原国明社長(50)は、リーディングカンパニーとしての苦悩を明かす。
 創業は1985年。会社がある佐世保市江迎町はかつて産炭地として栄えたものの、閉山とともに衰退の一途をたどった。そんな中、初代社長、大宅高敏氏(現相談役)は「地元の雇用創出を」という熱意から立ち上がった。
 需要増に伴い、15年ほど前から組み立て加工は、県内の協力企業2社(セイエイ、総和工業長崎工場)がほぼ100%賄う。システムを構成するベルトコンベヤーの長さは、発注に応じて異なる。スロット台が並ぶ「島」のさまざまなレイアウトに合わせて対応させるためだ。
 社名には「ジェットエンジンのような勢いがある人たちの集まり」との思いを込めた。全国各地で稼働するシステムは、そんな社員に支えられる。北海道から九州まで13の営業拠点を構え、不具合などに対応している。“現場のスペシャリスト”が直接店舗を回ることで、信頼を勝ち得てきた。
 ほかにも遊技場専用の空気清浄装置や吸い殻回収装置も開発。これからも現場の省力化、省人化につながる機器の開発を手掛けていく。「ブランドイメージを磨き上げつつ、時代に合わせた変化を続けたい」。藤原社長は力を込めた。

メダルを自動で補給、回収するシステム「ジェッターライン」の一部

◎ジェッター
 佐世保市江迎町田ノ元。1985年3月、大宅高敏氏が設立。藤原国明代表取締役社長は2代目。従業員数は99人(6月現在)。北海道から九州まで13カ所の営業拠点を持つ。主な取引先はシンワ、アーバン、全国の遊技場など。

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