「紙飛行機に夢を乗せて」世界最長69mめざし研究重ねる伊藤さん

相模原市中央区

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紙飛行機の研究に取り組む伊藤さん

 69・14m(226・10ft)。2012年にアメリカで樹立されたこの世界記録を破ろうと奮闘する青年がいる。

 県立相模原高校に通う伊藤奨真さん(2年)。伊藤さんは、1枚の紙とほんの少しのセロハンテープで製作した紙飛行機の飛行距離のギネス世界記録更新をめざし、日々研究を重ねている。

 共和小学校、共和中学校出身の伊藤さん。JAXAが身近にある環境で育ち、自然と宇宙に興味を持つようになった。中学1年の時には、宇宙への熱い思いをぶつけた作文を書き、全国で10人だけが選ばれるJAXAの1日宇宙記者に。はやぶさ2の打ち上げを取材すべく種子島に赴いた。天候不良による打ち上げの延期で、歴史的瞬間に立ち会うことはできなかったが「良い経験になった」と伊藤さんは当時を振り返る。そんな中で伊藤さんは、ロケットや航空機といった飛翔体に興味を抱くようになり、身近な飛翔体である「紙飛行機」を研究しようと高校1年の時に一念発起した。

 これまで伊藤さんは、様々な形の紙飛行機を製作しては、実際に飛ばして飛距離を計測する実験を何度も繰り返してきた。試行錯誤を重ね、300基ほどは製作したという。実験は無風状態の中で行わなければならないため、部活動の朝練が始まる前の早朝の体育館で実施。実験を行うたびに飛距離を伸ばし、今では体育館の対角線で飛ばして計測している。体育館の距離が足りず、天井や壁にぶつかって落ちてしまうことも何度かあり、推定で50mほどは飛ばすことができるようになっているのではと推測している。

 同時に、現在の世界記録保持者であるジョン・M・コリンズ(John M.Collins)氏が紙飛行機の作り方を解説した著書「The New World Champion Paper Airplane Book」の和訳に教員の手を借りて挑戦。世界一の紙飛行機を完全再現し、検証した。しかし、「その紙飛行機では世界一をめざさない」と伊藤さんは断言。なぜなら、一つ前の世界記録を保持していた紙飛行機とコリンズ氏の紙飛行機の形状が全く異なるためで、「違う形でも世界一飛ばすことができると思う」から。「真似で69m飛ばしても面白くない」と目を輝かせる。

 翼の形状を弓なりにすることで飛距離を伸ばすことに成功した時には「すごい発見をした」と喜んだが、それも束の間、同書に書いてあることに気付き落胆。研究は山あり谷ありだが、「答えがない」ほうが面白いと笑顔を見せる伊藤さん。数mmの違いが数mの結果の違いを生む紙飛行機。伊藤さんの夢を乗せ、世界が見据える先に辿りつく日は近いかもしれない。