『下町ロケット』阿部寛と敵対する内場勝則が撮影裏話を語る

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阿部寛ひきいる佃製作所と、協業するギアゴースト社を潰すため、夜な夜な密談を繰り広げる男。『下町ロケット』(TBS系)に、裁判相手のライバル社・ケーマシナリーの知財部長役で出演しているのが、吉本新喜劇座長の内場勝則(58)だ。

NSC大阪校1期生で、同期にはダウンタウンがいる。内場は、朝ドラ『わろてんか』、日曜劇場『陸王』(TBS系)と、話題作出演が続いている。その裏には思わぬ出会いがあった。

「吉本がねじ込んだんとちゃいますか(笑)? 2017年の7月、新宿の紀伊國屋ホールでやった舞台を、TBS日曜劇場の伊與田英徳プロデューサーが観に来てくれてたんです。

そこで『またなんかあったらドラマ出してください』って軽い気持ちで言ったら、『陸王』に呼ばれて。伊與田プロデューサーは、『出してくれって言われたんで出しました』と。『そうなんですか! ありがとうございます』みたいな感じで。

その後しばらくしたら、マネージャーに『「下町ロケット」の話が来てます』って言われて、『えー! ホンマに!?』ですよ」

『下町ロケット』は初回から、平均視聴率2桁超えを連発。前作から人気は衰えない。

「前クールで出演したドラマの『健康で文化的な最低限度の生活 』(フジテレビ系)は、吉岡里帆さんなど、若々しい出演者に囲まれていました。

今回の『下町ロケット』は共演者の年齢層が高くて、古舘伊知郎さん、池畑慎之介さん、中村梅雀さんと、ほっとします。古舘さんがめっちゃ博識なんです。

たとえば誰かがセリフを噛むと、古舘さんは『それはね、じつは脳がなんちゃらかんちゃらで……』って、延々その話になって『よく知ってはりますね〜』って。誰かが豚足の話を始めたら、古舘さんが『八角っていうのはね……』『よく知ってはりますね〜』って(笑)。

中村梅雀さんは『銀座のクラブはね……』と、夜の話が多くてテーマが大人だし、吉岡さんとの現場と全然違いますね(笑)」

内場演じる神田川敦は、本作における敵役。佃航平(阿部寛)と今後激しく敵対する。

「僕の撮影現場のメンバーが、古舘さんをはじめ大物ばっかりなんです。でも役柄では、僕が大物メンバーを雇っている立場。

演出家さんに『内場さんがいちばん偉いので、もっとドーンと構えてください』って注意されるんですけど、『すいません。まわりの方々のキャリアに負けました』と(笑)。

撮影前の最初の顔合わせには、圧倒されましたね。役者が50人ぐらい、ほんでスタッフは300人ぐらいおるんですよ。『照明の誰々です。音声の誰々です』って一人ひとり自己紹介するんです。

阿部寛さんもいらっしゃったんですが、なぜか髭がブワッと生えてたんです。休みだったのか何かの撮影のために伸ばしてたのかわからないですが、キリストみたいでした(笑)。

吉川晃司さんや真矢ミキさん、錚々たるメンバーがズラーッといらっしゃって、あちこちで挨拶になるんです。サラリーマンの名刺交換のようでしたね」

内場は1999年、吉本新喜劇の座長に就任。ボケもツッコミも器用にこなす一方、舞台『四つの理由』を17年ぶりに再演するなど、新たな挑戦にも意欲的だ。

「17年前の会場は、吉本が経営するディスコだったんです。柱がドッカーンとあるような店内に、椅子を並べて上演したんですが、客席の3列め以降のお客さんには全然舞台が見えなくて。アンケートに『カネ返せ!』って書かれました。

演出家の後藤ひろひとさんは、『俺の演劇人生で、こんなことを書かれたのは初めてですよ』ってめっちゃ怒ってらして。『絶対リベンジしましょう』と言うてたんが、今回やっと皆さんのスケジュールが合って、できることになったんです。

舞台は声の出し方が半端なくて、稽古でも自分の100%でやっています」

ルックスのインパクトや、一発ギャグとは違う “武器” で、笑いを作ってきた。

「新喜劇の中で大事にしてきたことは『間』です。それをドラマや舞台でも意識するようにしています。状況に応じた、ちょうどいい絶妙な『間』。

編集は、もちろんスタッフの皆様におまかせすることですが、演じている最中は、自分なりの『間』を表現できるようにしているんです」

内場の芝居を支えるのは、新喜劇で培ってきた確かな経験だった。

うちばかつのり
1960年8月22日生まれ 大阪府出身 NSC大阪校在学中の1983年、島田紳助演出・主演の舞台で主役に抜擢され初舞台を踏む。1985年から吉本新喜劇で活躍し、1999年、座長に就任。お笑いのみならず、俳優としても活躍中。

※舞台『四つの理由』が、11月16・17日に東京「あうるすぽっと」で公演

取材・インタビューマン山下

(週刊FLASH 2018年11月20日号)