『世界に広がる沖縄SOBA』 移民と広がった沖縄そば

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 沖縄そばが世界で食べられていることをご存知でしょうか? 本著の著者は、世界9カ国を訪れ現地取材をしています。今から約110年前、325人のウチナーンチュが初めてブラジルに移民として渡りました。その後沖縄は第2次世界大戦で全てを失い、一部の沖縄の人たちは生活の糧を求めて海外に移民しました。その方々が故郷を思い出し、現地の食材でスープを作り、貴重な小麦粉で手打ち「すば」を食べていたようです。

 ある移民者のウチナーンチュが青空市場に出店した際、食事時にカーテンを閉めてズルズルと麺をすすっていました。その様子をブラジル人が見て「日本人は隠れておいしいものを食べている」という噂(うわさ)が街中に広がりました。その後非日系人にも沖縄そばが定着し、2006年にはカンポグランデ市の「無形文化遺産」に認定されました。毎年8月には「SOBAフェスティバル」が開催され、ブラジル全土から沖縄そばを求めて多くの人が集まります。

 先般、私ども「沖縄そば発展継承の会」が沖縄そばのルーツ「唐人そば」を110年ぶりに再現しました。その特徴は参考文献によると「醤油(しょうゆ)味の黒醤油」であったとの記述がありますが、現在、カンポグランデの沖縄そばは、醤油味の黒いスープなのです。本場の沖縄では、醤油味が影をひそめていますが、ブラジルでは「醤油味の黒いスープ」文化が残っているのです。時代、時系列的にも移民前に「唐人そば」を食べていた可能性が高いと思われます。

 一方、ハワイでは毎年沖縄フェスティバルが開催され、2日間で1万食の沖縄そばが消費されているとのこと。また現地の製麺所サンヌードル社は、創業30年以上で、ロサンゼルス、ニュージャージーにも工場があり、ヨーロッパへも輸出しています。その創業者夫人は首里出身なのです。

 著者は、「ボリビア・コロニアオキナワで開催された入植60周年フェスティバルで県系人が沖縄そばを作り、現地の人たちがこれをすする幸せそうな顔を見た時、ウチナーンチュはとんでもない沖縄の食文化を南米に根付かせたものだと感心し誇らしく思った」と書いていますが、大いに同感しました。

 世界各地で食べられていることが分かる貴重な本。未来に広がれ沖縄そば。

 (野崎真志・沖縄そば発展継承の会会長)

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 ひらかわ・むねたか 1945年8月生まれ。獣医師、調理師。日本獣医畜産大学卒。県動物愛護センター所長などを歴任。沖縄山羊文化振興会会長、アジア食文化研究会会長。著書に「沖縄トイレ世替わり」「豚国・おきなわ」「ヒージャー天国」など多数。

 
世界に広がる沖縄SOBA 平川宗隆 著
A5判 130頁(オールカラー)

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