暮らしをシェア、生き方自在 住まいや車「所有」こだわりなく 価値観多様化する若者

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シェアハウスのリビングでゲームをして盛り上がる入居者ら。夕方過ぎになると自然と人が集まり、食事やだんらんを楽しむという=10月、熊本市中央区

 「身軽に生きたい」「分かち合う人間関係が大事」。ライフスタイルの多様化が進んだ平成の時代。持ち物を減らし、家や車を他人と「シェア(共有)」する若者が増えている。「所有」がステータスだった高度経済成長期が終わり、次世代が求めているのは価値観や豊かさの「共有」なのかもしれない。

 「ここに住まなければたぶん、みんなと出会ってなかったよね」。平日の夕刻、熊本市中央区九品寺の一軒家のリビングに男女6人が笑い声を響かせていた。2月に新築した「シェアハウス」。16~36歳の12人が共同生活する。職業は公務員、美容師、歯科衛生士、ネイリスト、ワーキングホリデーで来熊している韓国人、高校生などさまざまだ。

 アルバイトの坂本未来さん(23)は7月に入居。「持ち物は洋服や身の回りのものだけなので、身軽でよかった」。こうしたハウスは一般的に、台所や風呂などの共有部分と個室に分かれ、家具家電も備え付け。礼金敷金も不要の所が多く、家賃も人数割りとなる。

 このハウスの家賃は1人約3万6千円。2012年に県内で初めて設立したシェアハウス運営会社「ひだまり」が、オーナーから物件を募って入居者募集や管理を手掛けている。6年前、1棟から始まった運営物件は、県内で6棟、関東や福岡にも展開し全国で計30棟に増加した。「需要は確実に高まっている」と同社。

 ハウスでは、掃除などは当番制。食事や仕事など生活リズムはばらばらだが、夕刻には自然と入居者が集まり、“談笑タイム”となる。7月に入居した病院事務の北内幹さん(31)は「1人暮らしもしたけど、互いに距離感は保ちながらも、ゆるやかに支え合っている安心感がいい」。

 「ひだまり」の熊本担当で、このハウスの住人でもある工藤英輝さん(30)は「職場や家族、友人など既存の人間関係だけでは息苦しさも感じる中で、違う世界の人とつながれる『居場所』にもなっている」とシェアハウスの魅力を語る。

 一方、企業や団体が管理する自動車を登録会員が必要な時だけ利用する「カーシェアリング」も人気だ。公益財団法人「交通エコロジー・モビリティ財団」(東京)によると、全国で130万人超が3万台弱の車両をシェアしているという。この10年間で、車両は約57倍、会員は約407倍に増えた。

 いったん登録すればレンタカーを利用する際のような手続きが要らず、値段も車を購入するよりずっと割安。同財団交通環境対策部の熊井大課長は「若者を中心に車離れが進んでいる。非正規雇用などが増え、車を買えなくなったことも一因なのでは」と分析する。

 熊本市中央区の会社員、城谷将太さん(24)は半年ほど前からカーシェアを利用。費用だけでなく、利用頻度や県外転勤の可能性も考え、マイカーは所有しないつもりだ。「車を持つことにステータスは感じない。今は交際費や自己投資にお金を使いたい」(堀江利雅、宮崎翼)

(2018年11月12日付 熊本日日新聞朝刊掲載)