GT500決勝制したARTA伊沢、野尻が悔しさ吐露。「こういう複雑な思いはもう2度としたくない」

 11月11日にツインリンクもてぎで行われた、スーパーGT第8戦の決勝レース。この戦いを制したARTA NSX-GTの野尻智紀、伊沢拓也が戦いをふり返るとともに、2018年シーズンを総括した。

ARTA NSX-GT

伊沢拓也

「(自分が担当した前半スティントは)とにかく逃げて、野尻選手にマージンを稼ぎたいという思いで最初からプッシュしていました。クルマの調子は良く自信を持ってドライブできました。ピットに入ったタイミングはほぼミニマム(の周回数)で、後半スティントを担当する野尻選手には申し訳ない思いはありましたね」

「タイヤが厳しかったというわけではなく、ピットアウト後のポジション取りを優先したタイミングだったのですが、結果的にそこで(ピットに)入ったことでクリアなところで野尻選手がギャップを築いてくれました。そういう意味では、(今回の優勝は)チームの戦略とドライバーの走りが組み合わさった結果だったと思います」

「優勝できたのはうれしいですが、100号車(RAYBRIG NSX-GT)にチャンピオンを獲られたこと、昨年まで所属していたチーム(TEAM KUNIMITSU)にチャンピオンを獲られたことで悔しさの方が大きいです」

「それでも山本がスーパーフォーミュラとスーパーGTふたつのカテゴリーでチャンピオンを獲ったということに関しては、ドライバーとしては尊敬の思いもあります。来年は自分たちで(タイトルを)取り返えせるように頑張ります」

野尻智紀

「伊沢選手からほぼミニマムでバトンを繋いでもらい、チームからも『クリアだからタイムを稼ごう』と無線をもらっていました。自分のやるべきことは、ニュータイヤの美味しいところを使ってマージンを稼ぐことだと思ってプッシュしました」

「チームのいい作戦と、タイヤのパフォーマンスも非常によかったので、そこで100号車にギャップを作ることができました」

「全車がピットを終えた時、38号車(ZENT CERUMO LC500)に対して7秒くらいのギャップがあると無線で聞きました。作戦がスティント後半を楽にしてくれたと思います。チームが用意してくれた作戦に助けられました。クルマもポテンシャルが高いもので、ここまで速いクルマを用意してくれたチーム、ホンダさんには感謝しています」

「ただ、こういう複雑な思いはもう2度としたくないと思っています。優勝してうれしい反面、今日という日を忘れず来年以降のタイトル獲得を目指して明日から頑張っていきたいです」

ARTA NSX-GTの伊沢拓也と野尻智紀

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