自動降格圏

 サイドからの折り返しを相手の外国人選手が右足のかかとで逸らしたボールは、誰かの足に当たって方向が変わったように見えた。そのまま勢いなくコロコロと転がってゴールの右隅に▲ここまで0-0なのが不思議なぐらい-運動部の同僚が言った。相手がボールを持つ時間が長く続いた。幾度かの決定機を懸命にしのぎ、PKも防いで、それでも、これも1点。サッカーJ1のV・ファーレン長崎は昨日の敗戦で今季の17位以下が確定した▲満員の観衆に後押しされ、見事にJ1昇格の切符を手にした歓喜のゲームから数えてちょうど365日目。同じ諫早の競技場で選手もサポーターも肩を落とした▲残り2戦。自動降格圏を抜け出すことはできなくなった。何とか17位に上がれば、J2上位の動向次第で入れ替え戦を戦えるチャンスは残っていると聞く。ただ、例えるなら望み薄のチケットをキャンセル待ちしているような状態。そうなれば儲(もう)け物-ぐらいの気分で吉報を待とう▲仮にJ2で戦うことになってもV長崎が消えてなくなるわけではない。歩みが続く限り、今は“途中経過”だ。あんな日もあった…そう振り返れる日がいつか必ず来ると信じて▲11月11日。上向きの矢印が日付に4本並んで見える。サポーターもチームも、きょうから再出発だ。(智)

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