日ハム大田が目指す“トラウト流”2番打者「打率も残せて、ホームラン」

打撃練習に励む日本ハム・大田泰示【画像:(C)PLM】

求められた役割とオフシーズンからの取り組みが合致

 新天地1年目に誰もが認める素質の高さをあらためて証明し、真価が問われた“2年目”だったが、今季の北海道日本ハム・大田泰示外野手は新たな環境と対峙した。与えられたのは2番の打順。求められた役割は従来の概念と異なる得点力の拡大だった。

 2番を中心に104試合に出場、打率.274、14本塁打、59打点。7月上旬の左手骨折による故障離脱がなければキャリアハイ更新は間違いない活躍を見せた。新たな境地を開いたシーズンを終え、秋季練習を行う大田に“2番論”について話を聞いた。

――移籍2年目の今季は、どのようなシーズンでしたか?

「シーズン開幕後に2番に入って、前半戦は納得できる数字が残せました。ただ、左手に死球を受けて(負傷離脱し)、後半戦は思うような数字が残せなかった。いいところも悪いところもあり、納得いくところも悔しさもあるシーズンでしたね」

――どのあたりに納得ができましたか?

「バッティングにあまり迷いがなく、スランプらしいスランプがなかった。ずっと自分の形のままで右往左往することなく、自分の打撃が1年間通してできたことですね」

――今季は2番を任されたことが大きなポイントでしたが、どのように適応しようとしましたか?

「オープン戦で初めて2番に入って、『(開幕後も)あるのかな』と思いながらシーズンを迎えました。他の打順にも入るなかで、2番に入ったときに結果も出ましたし、自分の調子が良かったこともあって、面白みもやりがいもある。6番、7番、あるいは4番ほど好きに振れるわけではありません。勝つためには自己犠牲の必要があり、チームバッティングも考えますけど、そうした奥深さもありました。本当に違った野球観でプレーできたので、面白かったというのが第一の感想ですね」

――最初に2番に入った4月24日オリックス戦では金子千尋投手から2本塁打の活躍でした

「右方向に打球が行ってホームランになって。自信になりました。自分が打って落ち着いたことで2本目が出ましたし、ここからバッティングがどんどん良くなっていくという感じでしたね」

――センター方向への打球が増えているようですが、これは意識した結果でしょうか?

「昨年の9月くらいから「これだ」というものが手に入りつつありました。それをオフにも続けながら、シーズン中も特にセンター方向への打撃を練習していました。2番という打順がそうさせたというのもあります」

2番への適応が生み出した相乗効果

――前を打つ1番打者には、2年連続盗塁王の西川遥輝外野手がいます。状況によっては制約もあったと思いますが、何か決めごとはありましたか?

「遥輝が出塁したら、走ることに対して『どうするのか』ということは聞いていました。『追い込まれたら』や『3球目以内』、『すぐに行きます』、『このピッチャーの癖は……』などの会話です。そこで相手投手の投球を見逃して(西川選手が)走るのを待つことがあれば、逆にランエンドヒットになることもある。いろいろ考えながら、彼が走れるようにしたいとは思いましたが、そのあたりの難しさはありました」

――一塁に走者がいる状況では打率.350と好結果でした

「自分が我慢するなかで、たとえば相手バッテリーも盗塁を警戒します。そこでボールが先行して、自分のバッティングカウントにつながることもある。遥輝が走ってくれたら、得点圏にもなります。そこで進塁打を狙えば、あわよくばヒットになって打点がついてくることも(あるので)そういったことができた時は、うれしくなりましたね。求められる役割を果たしながらヒットを狙うのが面白さであり、難しさでもあります」

――来季も2番を打ちたいと思いますか? またMLBではトラウト選手やジャッジ選手のような強打の2番が流行っていますがどう思いますか?

「魅力的な打順ですが、起用は監督が決めることです。(強打の2番では)ジャッジとは違うと思いますが、トラウトがいいですね。打率も残せて、ホームランも打てる。四球をとれるのがいいです」

――今季の開幕前には四球を増やしたいと話していました

「四球をとれば、打率も上がります。出塁率も上がるし、チームはヒットなしでランナーが出せる。四球を増やせば、自分の選手としての価値がもっと上がると思います。いいバッターは四球がとれる選手が多いので。そこは気にしながらも思い切って、憶病にならないようにしたいですね」(「パ・リーグ インサイト」藤原彬)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

© 株式会社Creative2