日本で観られるのは他にチャンスなし!? Sound of ENGINE登場のプジョー905を見逃すな/SUZUKA Sound of ENGINE

 いよいよ11月17~18日に鈴鹿サーキットで開催される『SUZUKA Sound of ENGINE 2018 RICHARD MILLE』。長きに渡るモータースポーツの歴史を築いてきた名車が世界中から集結するファン垂涎のイベントだが、オートスポーツwebが注目する“見どころ”をご紹介しよう。第2回目は、ファンも多いグループCカーだ。

 いまや若いモータースポーツファンには馴染みも薄くなり始めてしまったグループCは、1982年にスタートしたスポーツプロトタイプカーのレース。燃料最大使用量が定められ、そのなかで各メーカーが試行錯誤をすることができたことから、多くの自動車メーカーが参戦し、ル・マン24時間を中心に80年代に隆盛を誇った。

 そのグループCカーは、今もコレクターやメーカーによって大切に保存されているが、今回の『SUZUKA Sound of ENGINE 2018 RICHARD MILLE』には8台のCカーが登場する。トヨタ-トムス85CLや、グループCを代表する存在であるポルシェ962C、さらにニッサンではデイトナ24時間ウイナーのR91CPに加え、ヨーロッパでNME、アメリカでNPTIが使用していたR90CKが登場するという。特にR90CKは日本で観られるのは珍しい車両だ。そして、毎回走るたびにそのロータリーサウンドで観る者を魅了するマツダ787BもJSPC仕様が登場するから見逃せない。

 さらに、今回注目なのはプジョー905の登場だ。グループCレースは1991年から、WSPC世界スポーツプロトタイプカー選手権と名称が改められ、当時のF1と同じ自然吸気3.5リッターエンジンのみが走れるカテゴリー1というものが設けられた。これはF1とエンジン規定を同じにして、WSPCとF1で両方出場するメーカーが増えることを期待したFIAの策だった。

 この規定導入にあわせ、プジョーが初めて作り上げたグループCカーが905だ。後にトヨタTS020やTF101を開発するアンドレ・デ・コルタンツが設計し、フランスの軍用機も製作するダッソー社が製造を担当。後にF1に転用される3.5リッターV10エンジンを積んだ。チームは現FIA会長のジャン・トッドが率いていた。

 1990年にテスト的に参戦し、91年から本格的に参戦したマシンだが、ロス・ブラウンがF1用フォードHBエンジンを積み開発したジャガーXJR14に開幕戦の鈴鹿で圧倒的な速さをみせつけられ、プジョーは改良に着手。シーズン後半戦から登場したのが、プジョー905・エボ1だ。

 フロントウイングの追加やリヤウイングの大型化、サスペンションの改良などで戦闘力を増した905は、翌年にはライバルとして登場したトヨタTS010を下しチャンピオンを獲得し、選手権はそのまま終了。1993年、ル・マン24時間ではプジョーvsトヨタの戦いとなったが、これも制した905はグループCカーレース最後の覇者とも言える一台と言える。

 そんなプジョー905は、92年には大幅改良を施した『エボ2』を公開するが、こちらは実戦投入はなし。今回『SUZUKA Sound of ENGINE 2018 RICHARD MILLE』に登場するのは、トヨタとの戦いを演じた905・エボ1Cとなる。細く絞られたコクピット、流麗なボディ、前後ウイングと、その美しい姿は必見。ちなみに筆者は今年42歳だが、数年前ル・マンで実車の905エボ1を観たときは、長年雑誌の写真でしか見たことがなかったクルマに生で会えたことに、大いに感動した記憶がある。

 今回の『SUZUKA Sound of ENGINE 2018 RICHARD MILLE』は、生で観られる上に走りまで楽しめるのだから、こんなチャンスは他にはない。ぜひ905が日本で初めて走った場所である鈴鹿で、その走りを見届けて欲しい。タイムスケジュール等、詳細はホームページ(https://www.suzukacircuit.jp/soundofengine/)まで。

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