強打のチームに犠打は必要なし!? 2018年セ・パ犠打ランキング

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今季30犠打を記録した広島・菊池涼介【写真:荒川祐史】

西武は2017年に93犠打をマークしたが今季はわずか48犠打

 犠打は野球の戦術の中でも特別な能力を必要とされる。また、指揮官の方針やそのチームの戦力構成によっても大きく左右される。2018年NPBの犠打のデータを見てみよう。

 一般的に犠打は、長打力と反比例の関係にある。長打、特に本塁打が増えると、犠打は減少する。ここ3年のNPB12球団の犠打と本塁打の総数の推移。

2016年 犠打1367 本塁打1341
2017年 犠打1328 本塁打1500
2018年 犠打1117 本塁打1681

 ここ3年で、本塁打は25%も増加、対照的に犠打は18%減少した。本塁打数が増えると、指揮官は犠打を選択しない傾向にある。

 この傾向が端的に表れたのが今年の西武だ。2017年、西武は153本塁打、93犠打を記録したが、今季は打線がパワーアップし、12球団2位の196本塁打に増加、対照的に犠打数は48に減少した。走者を送って得点機を作るよりも、長打力で試合を決めることが多くなったのだ。

両リーグの犠打数10傑

パ・リーグ

1藤岡裕大(ロ)26犠打(143試合)
2若月健矢(オ)23犠打(114試合)
2甲斐拓也(ソ)23犠打(133試合)
4今宮健太(ソ)22犠打(99試合)
4中島卓也(日)22犠打(132試合)
6大城滉二(オ)20犠打(128試合)
6清水優心(日)20犠打(86試合)
8上林誠知(ソ)17犠打(143試合)
8藤田一也(楽)17犠打(90試合)
10福田周平(オ)16犠打(113試合)
10田村龍弘(ロ)16犠打(143試合)
10安達了一(オ)16犠打(140試合)

 ロッテの新人、藤岡がリーグ最多。それ以下にはオリックス・若月、ソフトバンク・甲斐、日本ハム・清水、ロッテ・田村と各球団の捕手が並ぶ。捕手は下位打線でつなぐ打者として機能している。しかし西武の正捕手・森は今季犠打は0、強打が売りだけに他球団とは異なる起用となっていた。犠打が多い選手は一般的に長打力がない場合が多いが、ソフトバンクの上林は22本塁打17犠打。状況に応じて打撃スタイルを変えていた。

広島の菊池は今季30犠打で成功率は脅威の100%を記録

セ・リーグ

1菊池涼介(広)30犠打(139試合)
2梅野隆太郎(神)28犠打(132試合)
3京田陽太(中)26犠打(143試合)
4中村悠平(ヤ)22犠打(123試合)
5西浦直亨(ヤ)20犠打(138試合)
6植田海(神)18犠打(104試合)
7小林誠司(巨)16犠打(119試合)
8菅野智之(巨)14犠打(28試合)
9吉川尚輝(巨)13犠打(92試合)
10田中俊太(巨)10犠打(99試合)

 広島・菊池は犠打失敗なしの成功率100%、過去6年間で5回リーグ最多犠打。当代一の犠打の名手だ。阪神・梅野、ヤクルト・中村、巨人・小林と各球団の正捕手の名前があるのはパ・リーグと同様だが、巨人のエース菅野がリーグ8位の14犠打。菅野は16回バントを試みで、14回成功。成功率は.875と優秀だ。このほか、広島・大瀬良、ヤクルト・ブキャナンが9犠打。DeNA・東、濱口も8犠打。セ・リーグは投手もつなぐ打者として貢献している。

 地味な記録ではあるが、犠打は野球の変化を敏感に表す指標でもある。来季は犠打の数字はどのように変化するだろうか。(広尾晃 / Koh Hiroo)